Microsoftはかつて、1つの簡潔なスローガンを掲げていた。「すべての机に、家庭にコンピュータを」というものだ。
しかし、新たなスローガンはもっと長い。退任が決定している最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏は、最後となる株主宛て書簡の中でそのスローガンを提唱した。同書簡は、Microsoftが米国時間10月7日に投資家向けサイトで公開した2013年度年次報告書に添えられたものだ。Ballmer氏は、自身の最終年につづる株主向け書簡を通じて、Microsoftはソフトウェア企業からデバイスとサービスの企業へ転換を図ることを表明した。

Ballmer氏
Microsoftの2013年以降の新たな企業ミッションは、「世界中の家庭や職場、外出先で、人々が最も価値を置く活動に取り組めるよう、それを可能にする個人および法人向けのデバイスとサービスの製品群を生み出す」というものだ。
僭越ながら、もう少し短くして「個人および法人向けのデバイスとサービスの製品群を生み出す」というのはどうだろうか。
とはいえ、Ballmer氏やMicrosoftの面々が、この新しいスローガンの「人々が最も価値を置く活動」という部分にこだわる理由は、筆者にも理解できる。この文言は、ITのコンシューマ化が実現し、定着しているということについて、Microsoft経営陣が確信をもっていることを端的に言い表している。「メール」は消費者向けアプリでも企業向けアプリでもない、その両方だ。インスタントメッセージやビデオチャット、メモや簡単なドキュメントの作成といった機能についても、Microsoft幹部らは同様に主張している。このような確信にこそ、Microsoftが個人向けと法人向けの両事業を手がけ、さらに、デバイスとサービスの両事業を手がけることに、幹部陣が強くこだわる理由を理解するための重要なカギがある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。