クラウドと仮想化

仮想デスクトップの光と影--Windows XPのサポート終了は起爆剤となるか - (page 2)

大川淳

2013-10-11 07:30

導入の利用は多様化、効果は上々との事例は多数、一方で課題も

 企業がデスクトップ仮想化を導入する理由はセキュリティや、運用コストの抑制などが主だったものだった。東日本大震災の発生以後は、事業継続性の確保という目的も加わった。基本的に、いつでもどこでも仕事が可能ということで、最近では、在宅勤務など勤務形態の変革という動機もあり、電力消費量を削減できるとの利点もある。

 ある大手電機メーカーでは、8万ユーザーのデスクトップ仮想化システムを構築、フロアスペースを30%削減できたほか、作業効率を30%向上させたという。また、ある商社では、Windows XPのサポート終了に伴うクライアントOSの移行で、デスクトップ仮想化に着手した。

 ハードの動作検証やインストール作業をはじめとして、各種の設定やデータの移行など、OSの移行には、相当な手間がかかる。この企業では、コストは従来の手法に比べ、コストは10分の1になったという。また、地方公共団体で、1000台規模の端末を集約、運用、管理の負荷を大幅に低減化、さらには、在宅で事務作業をすることも実現したとの事例もある。ことほどさように、デスクトップ仮想化がもたらす優位点は枚挙にいとまがない。

 だが、当然欠点もある。まずパフォーマンスの低下などはその筆頭だろう。朝方、企業が業務を開始する時間に、例えば数百人のユーザーが同時にログオンしたり、OSにパッチを適用する際、数千台規模の仮想マシンを同時に再起動するような場合、ストレージシステムへの負荷が増大することにより、応答が遅くなることがある。

 動画や音声の編集などのようなアプリケーションは扱いにくいといわれる。また、一部の障害が全体に波及してしまう可能性がないとはいえない。ネットワークへの依存が高まるため、帯域が十分でないと、たちまち立ち行かなかくなる。

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