BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアのメーカーは、社内でBIをどのように活用しているのか。「QlikView」で知られる米QlikTechで、社内でのBI活用を統括するグローバルオペレーションと戦略マネジメント担当のバイスプレジデント、Joe Francis氏に話を聞いた。
QlikTechは、パートナーであるSalesforce.comのソフトウェアとQlikViewとの連携システムの提供に力を入れている。営業系、マーケティング系データをはじめとしたSalesforceのデータに加え、SAPやOracleなどの統合基幹業務システム(ERP)などの情報を集計し、社内で閲覧できるようにしている。QlikTechのマーケティング、財務、営業、パートナーアライアンスなど計1500人が利用し、ビジネスのアクションに生かしているという。
QlikTechで社内でのBI活用を統括するバイスプレジデント、Joe Francis氏
特徴的なのは「営業部門とマーケティング部門の連携」とFrancis氏。QlikTechは、今年5月にNasdaqに上場した米カリフォルニアの企業、Marketoの製品を導入。メール配信、コンタクト履歴、ダイレクトマーケティングなどを通じてリードを管理する。
「営業とマーケティングが1つの真実を見ているということが非常に重要だ」(Francis氏)
これが、データ主導のビジネスを推進し、パフォーマンスを改善するための要件だとしている。
数値が丸裸にする仕事ぶり
日本法人であるクリックテック・ジャパンのマーケティング統括マネージャー、安部知雄氏は「マーケティング担当者としては、自分の仕事が事細かく数値化されるため(ごまかしが効かず)怖いくらいだ」と話す。
例えば、過去12カ月の間に生まれた見込み顧客の数や比率が各地域ごとに、マーケティングが影響を与えたものだけに絞って一覧できるようになっている。そのため、見込み顧客が全体としてどれだけ好調でも、その数への貢献度の値が低ければ、その地域やマーケティング担当者のパフォーマンスが良くないと判断されてしまう。
「パフォーマンスの悪い箇所などを知らせるのは通常のBIにも機能があるが、QlikViewは“この案件にフォーカスするべきだ”など、非常に細かくブレークダウンした指示を出してくる」という。
「担当者にとっては都合が悪いかもしれないが、企業の業績を考えれば悪くない」とFrancis氏。BIソフトウェアの企業であるだけに、経営層から現場の社員に至るまで感覚も含めてBIに慣れているため、BIの潜在的な可能性を引き出しやすい環境にある。
数値改善のためにどんなアクションを取るべきかまで指示が出るという
2012年12月にクリックテック・ジャパンの社長に就任した村上智氏は、日本法人の営業面での展開について「グローバルでは直接販売と間接販売が半々以上で、日本では100%パートナー販売。この傾向を継続させる」と話す。営業とマーケティングの連携だけでなく、グローバルサプライチェーンなどにも力を入れていくと話している。
クリックテック・ジャパンの村上社長
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの普及により、ごまかしの効かない世の中になったと言われる中で、ビジネス面で1つの要因になっているのがBIだ。今後は、従来は存在しなかったものを含めてさまざまなデータが押し寄せてくる。そのデータをどう活用していくのか――ビッグデータなどのバズワードを顧みるまでもなく、この視点が要求されているのは間違いなく、多くの職場における仕事の進め方に影響を及ぼすと考えられる。