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少数精鋭の開発チームでライバルが恐れる会社に--DeNAの川崎修平CTO

大川淳 山田竜司 (編集部)

2013-10-17 07:30

 DeNAは、1999年11月にインターネットオークション「ビッターズ」を開始し、eコマースで事業を拡大してきた。その後、2006年に始めた携帯電話向けゲームサイト「モバゲータウン(現:Mobage)」が大ヒット。2011年にはプロ野球球団のオーナーになるなど、さまざまなビジネス領域に進出している。インターネット企業であるだけに、ITがビジネス拡大の原動力になった。IT活用の取り組みについて、技術部門を統括する取締役で最高技術責任者(CTO)の川崎修平氏に聞いた。


取締役 最高技術責任者 川崎修平氏

--今IT統括として注力していることとその理由は?

 CTOとして、技術面の意思決定を随時しています。肩書はCTOなのですが、サンフランシスコの拠点では半年ほど、プロダクトのマネージメントを中心に従事していて、実際にはあまりCTOらしい仕事をしていないと言えるかもしれません。

 プロダクトの監督は基本的に任期が終わり、新しいサービスをどんどん作り出していくため、直接現場に戻ってきているという状況です。現場を「見る」のではなく、自分も現場の一員として動いています。一定の期間でも、最前線を離れると、現場感が弱くなってしまうのです。

--情報システム部門の現況は?

 もともと、当社では、成長のドライバーとなるようなサービスを定期的に投入してきました。ソーシャルゲーム事業が伸びていますが、それだけに今後もずっと依存していてはいけないということで、新たな成長のドライバーを作りたいとの考えがあります。

 そのために、小回りの利く体制を整え、品質の高いサービスを開発できる基礎体力をつけようとしているところです。開発チームは、できるだけ少人数での構成を志向しています。大人数だとプロジェクトの管理や着地自体難しくなることがあったり、形になった時点でいまひとつ使いにくいと感じた場合、修正に時間がかかることが多いからです。大人数では機動的に動ける少人数に比べ、スピード感の点で劣るのです。少人数チームこそ、スピードと品質で他社に負けない体制を作れると考えています。

--少人数の態勢に弱点はないのか?

 一般的なプロジェクトでは仕様を決める段階では、要件を定義し、設計の局面に移るわけですが、まったく新しいものを作る場合、企画書通りに作業をして、それで最良の成果が出ることはまれです。いわば、使いながら足りないところを直していく方が好ましいのです。大所帯を細かく分けた上で、会議を開いて都度連絡を取るような体制では、無駄なコミュニケーションが増えるばかりです。

 少人数でしっかりコミュニケーションを取れるのであれば、立派なツールを使わずに「ホワイトボードを前に立ち話」でもかまわないと思っています。ただしモバゲーのプラットフォームでは、開発チームがグローバルで活動しているためツールの一元化などをしています。そういう部分がバラバラでは、グローバルな拠点間でリモート開発をする場合、やり取りが困難になり、セキュリティのレベルを合わせたいというような点で支障が出てしまうからです。

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