Windows 8の次のメジャーアップデート、仮に言えばWindows 9(Microsoft自体からは具体的な発表はされていない)の登場は2016年になると予測するDulaney氏は「これからWindows 8.1が投入されるが、新たなインターフェースに対応した業務アプリケーションは見あたらない。Oracleなどが、このインターフェースに対応するには時間がかかる。またWindows RTは既存のアプリが動作しない。こうしたことが、企業がWindows 9まで待つ理由になる」と語った。
PCが今後存続するのかという質問に対してDulaney氏は、「従来資産との互換性を保つためにはPCが必要である。しかし、世界の一部の地域では、PCはいらないが電話が欲しいというところはあるだろう。子供1人あたりに1台のラップトップという時代ではなくなり、タブレットでいい、電話でいいということになる。米ロサンゼルスでは、子供向けに70万台のiPadを配布するという動きがあった」と説明した。
企業の視点からみたモバイル端末ベンダーの動きについても分析した。「Appleは、iOS 7で企業向け管理機能が大幅に改善しているが、ロードマップが明らかになりにくく、企業にとっては付き合いにくい」と解説した。
「Samsungは強いポジションになり、“Knox”という新たなセキュリティの仕組みが差別化のポンイトとなる。Microsoftは、戦略の移行段階にあり、混乱が生じている。マーケティングに力を入れて混乱を避けるべきである。BlackBerryは、多くの企業で採用されているが、ビジネス上の問題から採用を取りやめている企業が増加している。Nokiaは、Microsoftとの協力で体制が整う。Microsoftにとっても、ハードウェアのビジネスが改善することになる」(Dulaney氏)
一方で、今後のモバイル端末の問題としては、高画質な動画を処理したり、端末に数多くのセンサが搭載されたりすることから多くの情報が発信され、それに耐えうるインフラが必要になることを指摘した。また、NFCの普及について「NFCは多くの端末についているものの、Appleが採用していないことが普及の遅れにつながっている。Appleがペイメイントでどんなものを活用するのかが注目を集めているが、QRコードやBlutoothを使用したものになるだろう」
「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)とモバイルは緊密なものになる」としてDulaney氏はこう予測した。
「ウェブにつながったデバイスは、2018年には世界の人口を上回ると予測されている。将来的には、“スマートフォーク”や“スマート箸”などの登場で人がどれぐらいの量の食事をしたのかもわかる。ヘルスケア分野での活用も想定される。ペットにもデバイスが取り付けられ、そこから情報が発信されるだろう」
Dulaney氏は最後に、企業でのモバイル戦略をサポートするための主要な5つのテクノロジを挙げた。
- クラウドツールやアプリの活用促進
- セキュリティの強化と柔軟性の両立
- 複数のプラットフォームにまたがったアプリの開発および複数の端末間での情報共有
- コンテナ化によるビジネス利用での信頼性向上
- HTML5によるモバイルアプリの活用
企業でのモバイルツールの活用はもはや避けては通れないものだ。そこにおいて、数々の課題が出ているのも事実だ。導入から運用、そして将来への対応という観点からも、モバイル端末に対する企業の関心は強まるばかりである。