米ZL Technologiesは10月16日、統合アーカイブソフトウェアの新版「ZL Unified Archive(ZL UA) v8.0」を発表した。メールなどの非構造化データを扱うことが可能で、企業内のあらゆる情報を包括的に管理、解析する。
監査の信頼性が向上し、ストレージコストの削減などを通じて企業のリスク管理を徹底させ、競争力を強化できるという。日本国内ではネオアクシス、リコーITソリューションズ、日本ユニシスなど、パートナー各社を通じ、年内に提供を開始する。
ZL UAは、メールをはじめとする多様な非構造化データを単一基盤上でアーカイブ、管理、検索できるソフトウェア。新版のv8.0ではFacebookやTwitter、JIVEといったソーシャルメディアのデータにも対応できるようになった。
データを取り込む際に重複排除を実行、ストレージ容量を削減でき、膨大な量になるメールデータを保存する基盤を整えていると説明した。オープンソースの分散並列処理プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」のコンポーネントを利用することで、システムの拡張性を拡げ、ペタバイトを超えるデータ処理が可能になったとしている。
非構造化データやソーシャルメディアの情報の解析に役立つよう、ZL UAでは、顧客や従業員が抱く感情や意思などを洞察する「センチメント アナリシス」、製品やサービスに対する評判を洞察する「ネガティブ・ポジティブ アナリシス」などの機能も利用できる。
従来のアーカイブシステムはストレージ最適化や文書記録管理、コンプライアンスなど機能ごとに別々のサーバが構築されることが多かった。いわゆる“サイロ型”だったため、データの扱い方は機能ごとに異なり、保持ポリシーや検索手法は不統一となり、非効率なデータ管理が大きな課題となってきた。
ZL Technologies 社長兼CEO Kon Leong氏
同社では、これに対する解決策としてZL UAを提示している。米ZL Technologies 社長兼最高経営責任者(CEO)Kon Leong氏は「これらのようなデータは、一つのリポジトリのプラットフォームですべて管理することが最も効率的」と話す。
同社では、ZL UAの用途として“電子情報開示(eディスカバリ)”への対応に焦点を当てている。米国では、2006年連邦民事訴訟規則の改正で、電子情報開示の規定が整備され、訴訟での証拠として電子書類も認められるようになった。
日本でも、2012年に財務省は輸出入関連メールを5年間保存することを義務付けている。加えてインサイダー取引の規制強化など金融庁の監査体制も厳しくなってきている状況のもと、電子文書の保存や管理、検索の体制を整えることが企業にとって一層重要になってきている。ZL UAでは何十億ものメールや文書を数秒で検索できるという。
多数の日本企業が海外に進出し、国際市場で事業を展開する中、米国や欧州連合(EU)などで国際訴訟に巻き込まれる例が増えてきている。同社は「企業の規制や法令の遵守、eディスカバリ、電子文書記録管理などは日本企業にとって大きな課題」(同社 ビジネスディベロップメント シニアディレクター 塩屋チミー氏)としており、ZL UAをこれらの企業を支援できるものと位置付けている。
Leong氏は「爆発的に増えているメールや文書などの非構造化データは、人が人のために書いたり生成したりするヒューマンコミュニケーションのためのもの。これらを収集、管理、分析すれば、さまざまな価値を見出せる。これらのビッグデータは、解析する以前に一元的な管理、統御することが必要」と述べ、ZL UAは、このような工程に適していることを強調した。