小松電機産業は、クラウドを活用した放射線モニタリングシステムの提供を開始する。同社が提供している上下水道遠隔管理システム「やくも水神シリーズ」のインフラを活用することで、低コストでの導入や運用が可能になるという。
マンホールポンプなど既存の水関連施設に設置することで監視装置のための新たな用地買収などが不要であり、さらに、iPadやAndroidをはじめとするタブレット端末や、スマートフォンを利用して、遠隔地からの監視が可能になる。すでに、福島県須賀川市で試験導入を開始しているという。
放射線観測ユニットを同社が提供するマンホールポンプ制御盤に取り付けて監視できる
やくも水神シリーズは、北海道から沖縄まで全国305自治体、6600施設で利用されている上下水道遠隔管理システムで、上水道および下水道の管理のほか、農漁村集落排水施設、消雪、ゲート監視、ため池の貯水量監視などに活用されている。開発にはRubyを採用。Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏とともに、プログラムを構築した経緯がある。
今回開発した放射線モニタリングシステムは、やくも水神による管理で利用しているマンホールポンプ制御盤などの既存水関連施設を活用して、放射線モニタリングポストとして活用することができるサービスだ。
「既存施設を活用することから、行政による新たな用地買収や電源設置工事の必要がないという特徴がある。用地取得から始めた場合、一台設置につき数百万円かかる場合があるが、それが不要になる」という。
また、電源引き込みができない場所でも、ソーラータイプを導入することで稼働を実現。その際にも、約2時間の設置工事で放射線監視を開始できるという。さらに、放射線モニターを、水中計測タイプに変更することで、排水路や除染集水タンク内、河川、湖沼、海底の底泥などの放射線量の連続測定および記録ができるようになる。
「低コストで、安定稼働できる放射線監視システムを提供できる」としている。
計測したデータは、クラウドを通じて、PCやタブレット端末、スマートフォンで監視することが可能であり、急な放射線量の上昇などの緊急時においても、担当者が情報を共有でき、迅速な協議と対応が可能という。