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未来を示してエンジニアと経営層をつなぐ--ビズリーチ竹内CTO - (page 2)

大川淳 山田竜司 (編集部)

2013-10-24 07:30

 一方、エンジニアは職人なので、自分の手で作るものの質を上げたいと願うものです。しかし、経営はいわば、“質”を因数分解して、仕組みにして、“量”を作る事だと考えています。双方が正義なのですが、この両者は共存できません。そこで、私は時々スイッチングしています。どちらも正しいのだからすごく悩みます。これはデメリットと言えます。

 優秀なエンジニアたちに「あるサービスをコピーしたいので同じモノを作ってほしい」と依頼しても、創造性を必要としない仕事であるため、彼らは「つまらない」と感じるわけです。経営者の視点で、そのサービスがもたらすシナジー効果などを見込んでいたと しても、エンジニアには関係のないことです。

 このようなケースでは、チャンスを出す形でコミュニケーションの面がやや弱い要員にトレーニングの意味で作業をさせるか、外部委託するなどさまざまな選択肢で迷います。従業員みんなの満足いくような解を探しますが、こんな場合の判断のスピードは、経営、技術どちらか片方だけ理解している人の方が速いでしょう。これもデメリットかもしれません。

--エンジニアに対し、どのような指導をしているか?

 例えばOSSを利用した電話システムの場合、コストを削減でき、技術者も新しいモノに取り組めたので満足したようでした。一方がすべてマイナスの結果になる、といったことにならないよう、ビジネス側、エンジニア側双方が満足する解を探しています。やはり現場の中心は人ですから。ただ指示するよりも、作ることによって会社が得る利益の規模、それが技術者が夢を持つようなものに投資できることへの投資につながるなど、明るい未来を示唆することで、彼らが満足できる場合もあります。

 CTOとして、現場のエンジニアにメッセージングしようとしているのは、無料なら使ってもいいというものと、金を払ってでも使いたいもの、どちらを作りたいのかということです。彼らは身近な課題をクリアしたいとの欲求が強いので、ビジネスやマーケットの課題にあまり目が向きません。しかし、エンジニアは、金を払ってもらえるものを創りたい傾向が強いと感じます。お金を払ってもらえるサービスを作って、みんながハッピーになるならそちらを選ぼうというような話をして意識改革しています。

--これからのエンジニアに求められるのは、どんなことか?

 エンジニアは基本的に話をするより、手を動かして何か作っていたいわけです。この点で融和するのは、エンジニアの血を薄くするようなものです。そこで、イメージとしては、エンジニアは、コミュニケーション力が高いビジネスマンを演じてみるといいと思っています。すると、別人格のように振る舞うことができます。

 まったく別の人格になるというより、役者になってふるまう、と考えた方が簡単かもしれません。多少コミュニケーションに難があっても生粋のエンジニアとして非常に優秀という人材は絶対に必要です。ただ、そういう人々と、経営者だけだと、ちょっと辛い。このギャップを埋めることのできる人が会社には必要でしょう。

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