創業時の南代表の印象は「うさんくさい」
--南CEOとの出会いは?
南と出会ったのは、2008年5月でした。彼がビズリーチを設立するために、システムを開発してくれる企業を見つけた頃でした。開発を非常に安い金額で受けてもらっていて、その会社からは、エンジニアになって1カ月というような人をあてがわれ、なかなか開発が前に進まないという日々が続きました。バグを修正すると、また、3つのバグが発生するというような状況です。
転職サイトは、人の経歴など、多くの情報を扱うので、検索する方法なども多様になり非常に開発の難易度が高かったのです。

11月末にもう一度、南と話したのですが、毎日バグが発生し、遂に、1万を超えてしまいました。彼はウェブサービス難しさを実感したようでした。彼はビジネスを知っていたし、楽天球団の立ち上げなど、新規事業を起動させ、成功させる経験から自信もあったようです。しかし、ITの世界やテクノロジについての知識がないので、バグの原因がわからなかったのです。
彼はサービスがつくれない事態など想定していなかったのですが、この時には現実を痛いほど思い知ったようです。そこで南は「すべてを任せるので助けてほしい」と頭を下げました。それを見て、求めに応じないわけにはいかないと思いました。
5月に南に会った時にはうさんくさい印象を受け、起業してもうまくいかないのではないかと思いました。11月末には、ウェブサービスの開発の難しさを痛いほどかみしめたようで、印象もずいぶん変わったため、これならうまくいくかもしれないと思いました。こんなに長く一緒に働くことになるとは思っていませんでした。
--経営者に必要なものとは何か?
営利企業では結局、お金を回す、いわば血液を循環させることができなければつぶれてしまいます。それができる人が舵を取っているわけです。方向性について、確固たる意識をもって、自分も船頭ができるくらいの力がないと、会社を率いていけません。それが経営の場で発言できるかどうかの要件なのでしょう。おそらく多くのCTOは、技術系の人々か技術の橋渡しをする人々です。
そういう人たちは、CEOと同じレベルで会話ができなければなりません。ビジネス部門は売り上げを向上させようとし、技術側はこれをつくりたいと言う。営利企業では売り上げ向上が優先事項です。それを理解したうえで、対話を通じ両方の目標をかなえたいとのスタンスになれば、うまくいいくかもしれませんが、互いに何を言っているのか、内容を理解し合わなければなりません。