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未来を示してエンジニアと経営層をつなぐ--ビズリーチ竹内CTO - (page 4)

大川淳 山田竜司 (編集部)

2013-10-24 07:30

いまの事業を出発点に、いずれは大規模サービス目指す

--ビズリーチとはどんな会社なのか?

 ビズリーチは、人材サービス業だと思われていますが、経営陣(南、竹内、永田)は、人材業界出身者ではなく、自社をそのように捉えていません。人材サービス業と大きく違う点は、世の中の動きをを俯瞰していることではないかと思います。企業が直接採用してしまえば住むところ、なぜヘッドハンターが存在するのか。ヘッドハンティングの市場は大きく、1000億円規模だと言います。なぜ、これが必要なのか。人材サービス業であればおそらく、ヘッドハンターのマーケットで大きなシェアを取ろうと考えるでしょう。

 求職者がいて、そのデータが企業に伝われば、企業はそれを見て判断します。ヘッドハンターはどんな役割をもっているのか。国内では、企業は競合相手、あるいは取引先に、人材を求め、声をかけるようなことは、義理や人情に反するといった感覚があるためそれをすることはできない。だからヘッドハンターがいる。あるいは、人事担当者は来た人を判断することはできるのですが、欲しい人材をつかまえるスキルがない場合も多いようです。

 人材サービスの企業は、直接人材を探しに行くルートを公開していません。また、人事担当者は応募に来た人々を判断する立場なので、君はOK、あるいはNGという判断しかなく、どうしてもうちに来てほしいとはなかなか言えません。しょっちゅう告白をされているので、自分から告白をしに行くということができないのです。そこで、「あの人は、君が大好きといっているよ」という具合に、キューピットになるような存在がへッドハンターです。

 これを因数分解して考えるとどうなるか。人事担当が候補者のA氏と会い、評価を聞いた場合に「まあ、普通よりは良かった」と答えたとします。そんなケースでの評価を1とするとヘッドハンターは結果を100と増幅して伝える。逆にマイナス100の人は、マイナス1くらいと伝えるという傾向があります。海外では、企業は人材獲得に向け直に候補者に声をかけるわけです。日本企業も、そうならなければ、今後、海外からもどんどん人が入り働き方も多様化した時、日系企業の競争力は落ちてしまいます。そんな時代を控え、日本企業もいざというときには、人材確保ができる力を蓄えていてほしいと思います。

 そこで、われわれは、雇用の場をオープンにして、直接、声をかけて下さいといっているのです。ヘッドハンターがやってきたことをデジタルで肩代わりできることは、すべてやろうというのが、ビズリーチです。

--サービスには、どのようなシステムを用いているのか?

 システムはゼロから作り上げました。人工知能のようなものを開発して、疑似的なヘッドハンターをシステム化しています。○×△という形式で、人事担当者に評価してもらい、○、×それぞれに共通の項目を学習し、○になっている人に多く共通している項目を次に提案します。

 社歴、年齢、役職などを分析して、それらをチューニングし、特定個人だけのヘッドハンターがいるような状況を作ります。利用する企業が少しずつ増えています。「人材を見つけるのは人がやらなければばらないこと」という既存の概念を、因数分解して、実際に行われることをすべて洗い出しています。

--システムの基盤はどうなっているか?

 Hadoopや、機械学習のしくみを使っていますが、われわれはAWS(Amazon Web Services)を用い、1時間以内にすべての処理が終了するように、サーバの台数をコントロールしています。大手の人材サービス業では、多様で巨大なサービスをしており、分散処理システムが常に稼働していました。しかし、当社はデータ量は最大でも800~900万件であり、他社に比べて少ない方です。このくらいの規模ですと、オンプレミスでサーバを使うより、1時間でいくらのAWSの方が適しています。

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