松岡功の「今週の明言」

マイクロソフトがERP・CRMでSAPやオラクルに宣戦布告 - (page 2)

松岡功

2013-10-25 13:57

 その答えがTatarinov氏の冒頭の発言である。いわばSAPやオラクルへの宣戦布告だが、その背景にはERP・CRMで存在感を持たないと、企業向けビジネスでは覇権を握れないとのマイクロソフトの思惑が見て取れる。本気になった同社が今後、どのような攻勢をかけてくるか、注目しておきたい。

「企業のビッグデータ活用は、具体的な取り組みを行う段階に入った」
(日本IBM 望月敬介 インフォメーション・マネジメント事業部長)

日本IBM 望月敬介 インフォメーション・マネジメント事業部長
日本IBM 望月敬介 インフォメーション・マネジメント事業部長

 日本IBMが先頃、ビッグデータ処理に特化した垂直統合型システム「IBM PureData System」のラインナップの拡充を発表した。同社のソフトウェア事業部門でインフォメーション・マネジメント事業部長を務める望月氏の冒頭の発言は、その発表会見で、IBMの市場調査をもとにした企業のビッグデータ活用の現状を語ったものである。

 今回発表された製品は、テキストや画像などの非構造データを大量かつ効率的に扱うHadoop基盤を提供する「IBM PureData System for Hadoop H1001」、およびエントリーモデルの「IBM PureData System for Analytics N2002-002」。これらの機能や特徴については関連記事を参照いただくとして、ここでは望月氏が紹介した市場調査に注目したい。

 この市場調査は、2012年にIBM Institute for Business Valueとサイード・ビジネス・スクールが共同で、全世界の企業およそ1000社を対象に、ビッグデータに対する取り組みについて調べたものだという。

 それによると、まず企業がビッグデータの活用に向けて、どのようなソースからデータを収集しているかについては、トランザクション(88%)、ログデータ(73%)、イベント(59%)、Eメール(57%)が上位を占めた。また、使用可能なアナリティクス機能については、照会およびレポート(91%)、データマイニング(77%)、データ可視化(71%)、予測モデリング(67%)、最適化(65%)が上位を占めた。

 さらに、ビッグデータ活用への取り組みを「準備」「検討」「試行」「実行」の4段階に分けて、どの段階かを聞いたところ、準備が24%、検討が47%、試行が22%、実行が6%となった。

 こうした調査結果を踏まえ、望月氏は自身の感触も加味したうえで以下のような3つの見解を示した。1つ目は「ビッグデータは調査の段階から具体的な取り組みを行う段階に入った」、2つ目は「ビッグデータの収集・格納プラットフォームが多様化し、とくにHadoopシステムへの関心と評価が高まってきた」、3つ目は「企業規模にかかわらず、分析への関心が高まってきた」というものである。そしてIBMはこれらすべてに対応すべく、IBM PureData Systemのラインナップの拡充を図ったとしている。

 さて、具体的な取り組み段階に入った企業から、投資効果を踏まえてどれくらいの成功事例が見られるようになるか、注目しておきたい。

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