キヤノンMJ、通期の業績見通しを下方修正--上期の遅れ取り戻せず - (page 2)

大河原克行

2013-10-28 11:43

 イメージングシステムは、売上高が前年同期比0.5%減の1244億円、営業利益は8億円増の49億円となった。4月に発売した世界最小、最軽量一眼レフカメラの「EOS Kiss X7」などのエントリモデルの好調ぶりに加えて、8月に発売したミドルクラスの「EOS 70D」が、想定を大きく上回る実績を達成。フルサイズセンサーを搭載した「EOS 5D Mark III」や「EOS 6D」などのミドルクラス製品および交換レンズも好調に推移したという。「レンズ交換式カメラは第3四半期だけで、前年同期比48%増の販売台数となっている」(柴崎取締役専務執行役員)という。


取締役専務執行役員 佐々木統氏

 だが、「一眼レフは好調だが、日本の市場ではミラーレスの比率が高いという傾向がある。今後、国内市場向けに、新製品の展開を含めて、ミラーレスを強化していく必要がある」(佐々木統取締役専務執行役員)との姿勢を明らかにした。

 また、コンパクトデジタルカメラは市場全体が低迷する中、プレミアムカテゴリとして投入した「PowerShot S110」が好調に推移。9月発売の「PowerShot S120」もスムーズに販売を拡大しているという。さらに、高倍率ズームカテゴリでは4月発売の「PowerShot SX280 HS」が好調に推移。「シェアナンバーワンを獲得し、低迷する市場の中で当社は第3四半期の販売台数は17%増と前年実績を大きく上回った。引き続きナンバーワンを維持していく」と意気込みを語った。

 インクジェットプリンタは、第3四半期に「PIXUS MG7130」などの新製品を投入。旧製品からのスムーズな切り替えによって、前年同期を上回る売上高を達成したという。だが、第2四半期までの進捗の遅れが影響。通期では前年比5%減の販売台数を見込むという。

 佐々木統取締役専務執行役員は、「競合他社(エプソン)がプリンタを小型化してことで、一部影響を受けて苦戦している事実はある。だが、機能的に大きく劣っているわけではなく、家庭内でプリンタの大きさが影響するとは見ていない。もし、小型化の傾向が強まれば商品化を計画していくことになる」とした。

 一方、産業機器の売上高は9カ月累計で、前年同期比22.3%減の187億円、営業損失は8億円減のマイナス15億円の赤字となった。

 第3四半期までの進捗の遅れが響くものの、国内半導体関連市場が徐々に回復基調にあるほか、医療分野では、デジタルラジオグラフィーやヘルスケア商品の拡販に努めるとした。

 キヤノンMJの決算発表をみると、Windows XPのサポート終了がビジネスPCの需要拡大が業績にプラス影響となっていることが明らかになる一方で、ミラーレスカメラへの強化、個人向けインクジェットプリンタ市場におけるテコ入れが求められていると言えそうだ。

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