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会津若松スマートシティ

会津若松スマートシティのチャレンジ:第2回--ハブ機能を果たす会津大学 - (page 2)

津田浩司

2013-10-30 08:00

復興協力に名乗りを上げる企業とハブ機能を果たす会津大学

 福島県の主導で1999年に開学された会津大学は、今年20周年を迎える。当初からコンピュータサイエンス領域にフォーカスし、特色ある研究や教育を積み重ねてきた。

 「コンピュータサイエンスの研究者は約100人。毎年入学する学生は240人ほどで、いずれもこの領域に関しては全国でナンバーワンの規模です。これまで送り出した卒業生の中には、起業を目指す人も少なくありません。こうして生まれた地元ITベンチャーが25社あり、約400人の雇用を創出しています」と岩瀬氏は言う。

 このような土壌が、ITに関係する多く企業を引き付けている。特に東日本大震災以降、会津若松市あるいは会津大学との連携に名乗りを上げた企業は少なくない。会津若松市に福島イノベーションセンターを立ち上げたアクセンチュア、地元に工場を持つ富士通、福島県いわき市で工場を運営するアルパイン。このほか、NECやNTT東日本、ネットワンシステムズ、豆蔵といった企業が、会津大学に対して教育機会の提供などの形で協力している。

 「復興の役に立ちたいというCSR(企業の社会的責任)的な動機もあると思いますが、同時に人材確保を考えている企業もあるようです」と岩瀬氏。優秀な学生を採用したいのは、どの企業にとっても同じだ。CSRとビジネスとを両立しやすい環境が、ここにはある。

 その点、会津大学から巣立ったITベンチャーも似ている。「地元を盛り上げたい」というのは起業家たちに共通する思いだろうが、それだけではない。岩瀬氏は次のように語る。

 「地元での起業を条件に大学として出資するといったことはありません。起業した人たちに聞くと、学生にアルバイトを頼めるといったメリットも大きいようです」

 このような以前からの取り組みがあったからこそ、会津大学は政府の復興関連予算の受け皿になることもできた。会津大学では今、各省庁の競争的事業に採択されて各種の先端研究が進められている。前回、100世帯にHEMSを配布して行われているスマートグリッド事業を紹介したが、このプロジェクトでも同大学は中心的な役割を担っている。

 「大学という中立的な立場なので、みなさんに信用してもらいやすい。先端的な研究にチャレンジするとともに、多くの関係者をつなぐハブ機能を担っていきたいと考えています」と岩瀬氏は語る。

 先に、司令塔としての推進会議に触れたが、それとは別に会津大学と地元民間企業が集まる「会津若松スマートシティ推進協議会」という場もある。「スマートシティ化を会津若松市が目指す新たな地方モデル都市づくりの一環と位置付け、産官学が一体となって新たな街づくり全体のプロジェクトを推進するため」に発足し、スマートグリッド事業では事業実施団体となっている。

 会津若松スマートシティには、産官学の関係者がスピード感を持って合意形成、意思決定を行う環境がある。それが具体的なプロジェクトを推進するための土台となっている。もちろん、その土台は最初から存在していたものではない。こうした土台づくりに汗を流すことなしに、利害関係の錯綜するスマートシティプロジェクトを前進させることはできない。

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