先週ラスベガス(米ネバダ州)でAmazonの「AWS re:Invent」というカンファレンスが開かれていた。ほぼ同時に、サンフランシスコではオンラインファイル同期・共有サービスのDropboxがエンタープライズ向けの新製品を発表していた。いずれの話題も当日わりと大きなニュースになっていたから、見聞きした方もいるかもしれない。
約9000人の参加者を集めた「AWS re:Invent」ではアプリケーション・ホスティングの「AppStream」や、クラウド上で動かすデスクトップ・サービス「WorkSpaces」といった新サービスが発表されていた。一方、Dropboxはエンタープライズ向けのサービスを発表し、企業向けの分野への本格参入ののろしを上げた格好だ。
さて、この2つの出来事に触れた記事をGigaOM主筆のOm Malikが執筆し、週の終わりに掲載していた。
・Why Amazon (web services) and Dropbox need each other - GigaOM
「Dropboxのような新興企業がごく短期間に急成長を遂げることができた。その理由の1つはAWSがあったから」という趣旨の記事だが、この中に出てくる数字がかなり興味深いので、今回はそれらを少し拾ってみる。
Dropboxについては、5年前の創業時に2人(共同創業者のDrew HoustonとArash Ferdowsi)しかいなかった社員数が、いまでは約470人まで増えた。現在の登録アカウント数は約2億件、有料契約社数が約400万件。さらに同社の評価額について、一部では40億ドルの声もあがっている、とこのGigaOM記事にはある。
なお、米国時間11月18日にはBusinessweekで「Dropboxは評価額80億ドルで、2億5000万ドルの資金調達に向けて動いている」とも報じられていた。前回(2011年11実施)の資金調達では評価額4億ドルでやはり2億5000万ドルを集めていた。出資者の中にはSequoia Capital、Accel Partners、Goldman Sachsといった有力VCや機関投資家のほか、インキュベーターのY Combinator、それにU2のBonoやThe Edgeといった有名人の名も含まれる。
・Now Dropbox Thinks It's Worth $8 Billion - Businessweek
さて、このDropboxや同社と競合するBox.netなどを「縁の下の力持ち」として支えるAWSについては、2012年に推定20億4400万ドルだった売り上げが、2013年に34億7000万ドル、2014年に59億ドルと増えていき、2015年には90億2000万ドルに達するというMacquarie Securitiesの推定/予測が紹介されている。またMorgan Stanleyのあるアナリストからは「2022年には年商300億ドル」という予想も出ているという。
・Wall Street sees boom time ahead for Amazon’s cloud biz - GigaOM
Om Malikのコラムには、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)の「objects」と、Dropboxのユーザー数の推移(2008-2013年)をプロットした折れ線グラフが載っているが、いずれも見事な右肩上がりとなっている。また同じ期間中にAWSでリリースされた「年ごとの新製品、機能の数」を示す棒グラフも出ており、AWS自体での戦力強化のペースが加速していることも読み取れる。