会津若松スマートシティ

会津若松スマートシティのチャレンジ:第4回--持続的成長で超えるべき課題 - (page 2)

津田浩司

2013-11-20 11:30

 長期にわたって確実に動き続けるモノをつくる技術において、日本企業は世界の先頭を走っている。また、効率的なメンテナンスや予防保守に役立つセンシング技術、データ解析を得意とする日本企業も多い。実際、関与の度合いはさまざまとは言え、日本企業の多くが海外でのスマートシティプロジェクトに参画している。

 一方で、グローバル展開を視野に入れた場合の課題もある。例えば、グローバルなマネジメント能力は最もベーシックなものだが、それだけに重要性も高い。

 これまで日本企業は、工場や販売拠点の運営では経験を積んできたが、スマートシティで求められるノウハウはより高度なものになる。現地政府や事業主体とは、長期的な関係を維持する必要がある。

 また、インフラの構築だけでなく運営への参画を求められるケースも増えている。現地従業員の人数も増えるだろう。「モノの提供」や「施設の建設」と比べると、格段に高いレベルのマネジメントが要求される。総合商社や一部の製造業など、長年ノウハウを蓄積してきた日本企業もあるが、欧米のグローバルプレイヤーと比べると力不足の感は否めない。

 そこで、現地でのマネジメントを担う人材育成、本社のグローバル経営力強化は急務だ。ほかの産業分野でも“グローバル人材”の必要性が叫ばれているが、各国の参加企業との高度なコラボレーションが必要なスマートシティプロジェクトでは特に重要な課題である。

 同時に、人事評価や報酬などの制度整備も欠かせない。それは現地法人だけでなく、本社を含めた包括的な取り組みにならざるをえないだろう。スマートシティの海外展開は、日本企業の経営に大きな課題を突き付けている。それを克服した先に、グローバル市場の巨大なビジネスチャンスがある。

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