米国時間の11月19日、Salesforce.comのカンファレンス「Dreamforce 2013」が開幕した。事前の登録者は13万人に上り、過去最大規模となった。初日の基調講演で最高経営責任者(CEO)であるMarc Benioff氏は、新プラットフォームである「Salesforce1」を全面に押し出す。
「自動車、自動販売機、建設機械、医療機器といったすべての機械、電動歯ブラシ、デジタルカメラ、靴など身の周りにあるすべての製品がインターネットにつながっていく。そのインターネットアクションの背後にいる顧客とわれわれはつながるべき。それをSalesforce1が実現する」と新しいプラットフォームが持つ可能性を強く訴えた。
Marc Benioff氏
Salesforce1については、10月30日に日本で行われた「Customer Company Tour Japan」でBenioff氏自身が「モノのインターネット化=Internet of Things(IoT)の時代に向けた新しいプラットフォームを提供する」と宣言していた。今回の基調講演で、この新プラットフォームであるSalesforce1の概要を説明した。
Salesforce1は、Salesforceがこれまで提供してきた各アプリケーション、そしてIoTまで利用できる新しいプラットフォームだ。Benioff氏はこの新プラットフォームが実現するのは「顧客のインターネット」だと説明。「顧客よりも株主、競合企業、パートナーのことを考える企業も存在するが、われわれは常に顧客を第一に考えてビジネスを進めてきた」と同氏。Salesforce1も顧客を第一とする姿勢から生まれたものであると強調した。
Benioff氏はその具体例と、そこから生まれる新しいビジネスチャンスを、次のように説明する。
「私の母校である南カリフォルニア大学を訪問しても“1986年に我が校を卒業したBenioffさんいらっしゃい!”と誰も声を掛けてはくれない。もし私が来校したことが認識されていれば、例えば大学内の書店で“いらっしゃいBenioffさん、あなたにピッタリのこんな書籍がありますが、いかがですか?” といった呼び掛けもできる。これまでは存在していなかった新しいビジネスチャンスが生まれるのだ」(同氏)
すでにこの考え方に基づいて開発された製品として、キヤノンのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot N」を挙げ、「用意されたボタンを押せばWi-Fiにつながり、プロモーション情報を獲得できる。従来、カメラは個体として存在し、写真を撮るためのものだった。しかし、現在の顧客が求めているのはそれだけではない。キヤノンはそれをよく理解している」と話した。