漁業協同組合が自己査定支援システムをクラウドで刷新

山田竜司 (編集部)

2013-11-22 12:27

 漁業協同組合グループ(JF)は信用事業の査定の支援システムを全国で統一し、10月より稼働を開始した。システム構築を担当した電通国際情報サービス(ISID)が11月22日に明らかにした。クラウドにより、各JFのデータの独立性を確保しつつ、低コストかつセキュアにアクセスできる環境を実現したという。

 JFグループは、全国約980のJFと、各都道府県のJF連合会などを主な会員とする協同組合組織。組合員の漁業者向けに水産物の供給、販売などの各種事業を展開している。そのうち信用事業では、全国約170のJFなどが、「JFマリンバンク」の名称で漁業者や漁村地域向けに各種制度融資をはじめとする金融サービスを提供している。

 これまで各JFは個別に自己査定システムを構築・運用してきたが、地域金融機関向けのクラウド型融資・営業支援システム「BANK・Ron CLOUDiS」を採用し、全国でシステムを統一した。同システムは、漁業者などに向けた円滑な金融機能の維持と事業の健全性確保のため、全国のJFマリンバンクにおける自己査定業務の厳格化や効率化、システム運用負荷低減を目的とした。

 新システムは、自己査定業務に必要な機能を網羅した、全国統一の仕組みをJFグループが共同で利用可能という。SSLによる暗号化技術やクライアント認証キーによる認証強化などを用いてセキュアな環境を構築。クラウド上の同一サーバ内に複数の利用環境を区切るマルチインスタンス対応により、データの独立性も確保した。

 同システムでは金融機関ごとの個別要件にも対応できる。JF関連特有の勘定科目に準拠した財務諸表や経済事業債権の取り扱いなど、これまで各JFが個別に作業していた業務の効率化や自動化したという。

 また、BANK・R on CLOUDiSのインフラには、金融機関の業務システムに求められる信頼性や可用性に耐えるクラウドサービス基盤「CLOUDiS/IaaS」を採用しているとアピールする。これによりハードウエアの維持管理や更改に伴う運用負荷、コストを削減。導入後のシステム運用支援サービスを併せて採用した場合、法制度改定対応やバージョンアップ適用といった運用負荷も低減可能という。

 今後、JFは信用事業を実施していないJFにもシステムの利用を順次拡大していく。


JFグループの「BANK・R on CLOUDiS」利用イメージ

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