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イーロン・マスクとスティーブ・ジョブズ――「思い込みの強さ」も天才の証

三国大洋

2013-11-26 18:03

 今回もまた「明日の仕事には役立ちそうもない話」を1つ紹介する。

 米経済誌Fortuneの最新号(12月9日号)で毎年恒例のビジネスパーソンランキングが発表され、電気自動車(EV)メーカーのTesla Motorsと民間宇宙船開発のSpaceXの2つを創業・経営するElon Muskが「今年のビジネスパーソン」(“Business Person of The Year 2013”)に選ばれていた。

 このランキング、今年は上位50人の中に日本人経営者が4人もランクインしている、それも比較的上位に入ってきている点が目をひく――豊田章男(トヨタ自動車、7位)、孫正義(ソフトバンク、19位)、柳井正(ユニクロ、20位タイ)の3人はある意味「常連」(ランクインとして当然)と言えるかもしれないが、26位にガンホー・オンラインの森下一喜が入ったあたりは、フィンランドのモバイルゲームアプリメーカーSupercell(スーパーセル)の買収の影響――この買収に対する評価を知る手掛かりと言えるかもしれない。

 ところで。「今年最も活躍が目立った経営者」とされたMuskについて、Steve Jobsとの共通点を指摘した、かなり長い特集記事も掲載されている(ウェブでの公開は21日)。

 ・The shared genius of Elon Musk and Steve Jobs - Fortune

 媒体自身がトップに選んだ人間の「すごさ」を伝えるための記事という性格上、Muskに対して批判的な部分はほとんど見当たらないのだけれども、さすがに書き手がTEDカンファレンスを主催するChris Andersonだけあって、MuskとJobsの共通点について面白い指摘がいくつか含まれている。記事タイトル中の「genius」という単語から察せられる通り、われわれ凡人には真似しようにも簡単にはできそうもないことかもしれないが、この「genius」が具体的に何を指しているかなどを以下に書き出してみる。

 この記事の一番最後の部分には、MuskとJobsの共通点の表層的な部分――例えば「学校をドロップアウト」「最初に立ち上げた会社で成功」「経営者としてクビになった」「副業のビジネス(JobsはPixar、MuskはSolarCity)もうまくいっている」などの共通点が箇条書きされているが、これらはあくまでオマケの話。では、何が(二人の共通点として)最も重要かといえば、それは「信じられないほど稀有な、精神的特性」(“a mental trait that is incredibly rare”)というもの――もう少し具体的にいうと、「途方もない確信(思い込み)から力を得たシステムレベルのデザイン(=設計)思考」(“system-level design thinking powered by extraordinary conviction”)というものだそうだ(抽象的過ぎてこれだけでは何のことだか察しもつかないが)。

 この「システム思考」と「思い込み」について、Andersonは延々と説明を加えているが、前者については(簡単にいうと)ある画期的なアイデアを実現するにあたって必要となるいろいろな面を考えられること……というふうになるようだ。「いろいろな側面」に含まれる要素としては、例えば技術自体に加え、アイデア実現に必要なデザイン、ロジスティクス、ビジネスモデル、そして「潜在顧客が思わず飛び付きたくなるものにするには何が必要か」などを理解(精通)していること、とある。ただし、このあたりの主張は分かりにくく、「大抵のイノベーションは新しいメロディーを思いつくようなもの、それに対してJobsやMuskがやったのは交響曲を作曲すること」("Most innovation is like a new melody. For Jobs and Musk it's the whole sympony)といった比喩を使われても、正直あまり面白くはない。

 また、NeXTでJobsと働いた経験があり、その後ベンチャーキャピタリストに転身してSpaceXやTeslaに出資したSteve Jurbetsonという人物が指摘した2人の考え方の共通点も紹介されている――JobsもMuskも「解決すべき課題あるいは実現したいアイデアをとことんまで要素分解した上で、次に完璧な組み合わせが見つかるまでその要素をシャッフルし続ける」というのも、多分に「教科書的」でネタとしては扱い方に悩む部分もある。

 この記事が俄然面白くなってくるのは後半部分、特に「いろんな分野に精通してものを考えられる人間というのは、何もMuskやJobsだけではない」「革新的な可能性を夢見ながら、それを実現できずにいる人間は大勢いる」「(だとすれば)ほかに何らかの要因があるに違いない」という辺りからで、その要因としてAndersonは「確信」あるいは「思い込み」の力――思い込みの強さから生まれるパワーを挙げている。

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