米ZDNetのライターであり、長い間「Windows」のファンであったAdrian Kingsley-Hughes氏は、「Windows 8.x」における「変更を目的とした変更」のおかげで、経験豊富なユーザーにとってWindowsが使いにくいものになってきているという理由で、見切りをつけた。筆者も同じ気持ちだ。筆者の考えでは、Windows 8はそのスタートから失敗に向かって進んでしまっており、Microsoftはまだ進路を修正できていないのである。
ご存じだろうか?Windows 8の導入率は、不遇であった「Windows Vista」の最初の年よりも低い数字にとどまっている。そして、同社がそのことを気にかけているようには筆者には思えない。
なぜだろうか?Microsoftは将来の収益をデスクトップPCや、痛い目にあわせる結果となったハードウェアパートナーからではなく、「Surface Pro 2」や「Surface 2」という自社のアプライアンスと、「Microsoft Office 365」といったクラウドベースのアプリから得ようとしているからだ。
考えてみてほしい。MicrosoftがWindowsベースのPCにユーザーをつなぎ止めておきたいと本当に願っているのであれば、「Microsoft OneNote」や「Lync Online」「Skype」「SkyDrive」を「Android」機器や「iOS」機器に対して提供するだろうか?「Office Mobile for Office 365」は既に「iPhone」向けにも提供されており、「Microsoft Office」の中核をなすアプリのウェブ版も「iPad」向けやAndroid搭載タブレット向けのものが提供されている。Microsoftが自社のサービスをユーザーに貸し出せるようにしているという事実を目の当たりにすると、同社がユーザーの使用しているPCのことを気にかけているようには思えないのである。
Jason Perlow氏は筆者やKingsley-Hughes氏と同様に米ZDNetのライターであり、昔から仕事や遊びにPCを使っている人間だ。Perlow氏は「われわれがWindows PCを使用するか、Macを使用するか、iOSやAndroidのようなモバイルOSを搭載した他のまったく違ったものを使用するかに関係なく、それがエンドポイントのデバイスであるという点に着目した場合、われわれは単なるエンドユーザーになる」と述べている。つまり、「当たり前のように、すべてはアプリの話になってくる。そして、ユーザーが必要とするこれらのアプリやデータサービスの配布メカニズムは、クラウド内に存在している」というわけだ。
Amazonもそのことを理解している。同社はクラウドをマーケティング上の宣伝文句から現実のビジネスに変えた企業である。そしてAmazonは現在、深く世の中に浸透した最後のOSになるだろうと筆者が考えている「Windows 7」をクラウドに移行しようとしている。
MicrosoftはWindows 7を使ってほしくないと考えているようだが、ユーザーはこのOSをこよなく愛しているため、筆者はAmazonの戦略が大成功を収めると考えている。しかし、注意しておくべき点がある。AmazonはWindowsを搭載した本物のPCを与えてくれるわけではない。ユーザーが手にするのは、「Amazon Web Services(AWS)」クラウド上で「Windows Server 2008 R2」を稼働させ、その「デスクトップエクスペリエンス機能」から得られるPCライクなエクスペリエンスなのである。
これは見た目と動作こそデスクトップのようであるものの、実際はDaaS(Desktop as a Service)なのだ。