XP後のコンピュータ

PC時代に終止符を打とうとする者たち - (page 4)

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-11-28 07:30

 筆者の目に映っている状況は次のようなものだ。AmazonとApple、Google、Microsoftはいずれも、われわれにPCではなくアプライアンスを買ってもらいたいと考えている。アプライアンスとは、閉じたブラックボックスである。これは変更がきかない単一のOSしか稼働させることができない。さらに、メーカーが承認したアプリしか動作させることができない。AppleとMicrosoftは特に、厳格にこういった制限を設けている。

 当然の帰結として、ユーザーは数年おきに新しいアプライアンスを買わなければならなくなる。というのも、そのアプライアンスは数年間しかサポートされないためだ。例を挙げると、Appleの、あるいはAndroidの古いタブレットやスマートフォンには、最新のアプリやOSをインストールできない。PCであれば、アップグレードできるし、大事に使っていけば、10年程度は最新のプログラムやOSを動作させ続けることができる。アプライアンスの場合、このような選択肢はそもそも存在しないのである。

 それと同時に、シュリンクラップされたソフトウェアはほとんど見かけなくなった。ここで筆者が述べているのは、文字通りシュリンクラップされたものだけではなく、ダウンロード可能なものすべてを含んだソフトウェアである。ベンダーは、ウェブベースのアプリを起動するための単なるスタブや、ウェブベースのSaaSをユーザーに使用してもらいたいと考えているわけだ。

 実際のところ、テクノロジ分野のすべての企業は、できるだけ早くユーザーをSaaSに移行させたいと考えている。こういった企業が目標を達成した暁には、アプリとデータはクラウド上に配備されるようになるだろう。

 PC革命はもはや終わりを告げようとしていると言ってよいだろう。われわれではなく彼らがふたたびコンピュータをコントロールするようになるのだ。プライバシーはって?われわれは、企業のコンピュータを支配する人々にあらゆるものを引き渡すことになる。

 もちろん一部の人々はそれでもPCを自作したり、ノーブランドPCを購入したり、自らでサーバを稼働させたり、OSとしてデスクトップLinuxディストリビューションを使用することができる。しかし、そういったホビーストはごく少数しかいない。1970年代後半にはわれわれはPC革命の先導者であった。しかし2010年代の半ばには、われわれはDIYをたしなむPCユーザーの最後の生き残りになってしまっているはずだ。

 PC革命の時代が続いているうちは楽しかったが、一般の人々にとってはPCによってもたらされた選択の自由とプライバシーよりも、アプライアンスとクラウドのもたらす便利さの方が明らかに重要であるようだ。筆者個人としては、PC時代の終えんを残念に感じるだろう。筆者はこの新しいコンピューティングパラダイムがもたらす利益をみんなと同様に好んでいるものの、失おうとしているものも見えているというわけだ。そして、筆者個人は自身のスタンドアロンPCやサーバ、OS、アプリを最後まで使い続けるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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