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松岡功の一言もの申す

懸念される秘密保護法案とビッグデータの関係

松岡功

2013-11-27 17:32

 特定秘密保護法案における国会での審議が大詰めを迎えている。国民の「知る権利」やメディアの「取材・報道の自由」を脅かしかねない法案だけに慎重な論議を求める声も多いが、11月26日夜に衆院で可決され、参院での審議に移った。

 この法案の本質的な問題は、何が秘密に指定されているか分からないという恐ろしさにある。政府は秘密の範囲を、防衛、外交、スパイ活動防止、テロ活動防止の4項目で安全保障上必要なものとしているが、安全保障の定義が曖昧で範囲も限定されていない。

 このままだと、政権や省庁が不都合な情報を隠すなど恣意的に利用する恐れがある。何が秘密なのか分からないまま、秘密が際限なく広がってしまうと、意見が言いにくい息苦しい社会になってしまいかねない。

 「そんな息苦しい非民主的な国家のありようが、戦争という道につながりかねないことを、私たちは過去の歴史から学んできたのではないか」

 鳥越俊太郎氏や田原総一朗氏、メディア関係者有志一同は、こんなメッセージを出してこの法案の廃案を訴えている。この「戦争という道につながりかねない」ことこそが、恐ろしさの根っこにある。

秘密保護法に「有効活用」されるビッグデータ

 そんな特定秘密保護法案に対して、筆者なりの懸念を1つ示しておきたい。それは、この法案とビッグデータの関係である。さまざまな情報を収集し分析して、ビジネスの拡大や便利な社会作りにつなげようというビッグデータの活用が今、ブームともいえる盛り上がりを見せている。企業にとってはまさに「宝の山」とも言われるビッグデータだが、それは当然ながら行政にとっても同じだ。


 最近では、ビッグデータを活用して人間の行動だけでなく嗜好や感情をも把握できるようになってきており、これらによって企業がビジネスの拡大を図るのと同じく、行政にとっても便利な社会づくりにつなげていくことが期待されている。

秘密裏の国民監視も理論上は可能

 ただ、そうしたビッグデータの活用は、国家としてやろうと思えば人間社会の監視にも適用できる。George Orwellが小説「1984年」で描いた監視社会の姿をもっと高度化することもできるだろう。しかもそれを、例えばスパイ活動防止の名目のもとに特定秘密保護法を適用すれば、政府はその監視の事実さえも公表する必要がない。

 それは考え過ぎではないか、との見方もあろうが、特定秘密保護法が施行されて拡大解釈されるようになれば、ビッグデータは政府によって必ず「有効利用」されるようになる。ここにきて個人情報保護法を改正する動きも出てきているが、もし政府が秘密保護を優先すれば、個人情報の扱いもベールに包まれることになりかねない。

 秘密の妥当性をチェックする仕組みをどうつくるか、秘密の指定期限をどうするか、参院で真剣に審議してもらいたい。とともに、この法律とビッグデータが今後深く関係してくるであろうことを、ビッグデータの一端を生み出す私たち個々人としてしっかりと認識しておくべきだと考える。

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