中国は自国の交通管理機関により交通状況を瞬時に把握し、乗客の流れやタクシーの利用状況などをリアルタイムに分析するプラットフォームを使った試験を開始した。ドイツのSAPが発表した。
中国交通運輸部 道路科学研究所(Research Institute of Highway Ministry of Transport: RIHMT)はSAPが中国に持つ研究所(SAP Labs China)と共同で、北京と昆明、重慶、天津で実施されている、ビッグデータの包括的な分析や、インメモリーデータベース「SAP HANA」に対応した意思決定支援プラットフォームの実験プロジェクトを推進しているという。
中国のタクシー業界は、情報伝達の遅れや、需要と供給の不一致などの課題に直面してきたが、中国交通運輸部は2012年、タクシーの適時性と安全性を高め、市民へのサービスを改善するため、都市部のタクシー管理プラットフォームによる全国的な実験プロジェクトの開始を決定したと説明する。
このプロジェクトの技術的サポートを担当したRIHMTは、SAP Labs Chinaの南京イノベーションセンターと協力し、SAP HANAをベースとした統合的な交通管理システムの研究開発を実施したという。
試験運用が実施されるプラットフォームでは、ビッグデータの分析処理パフォーマンスが従来よりも劇的に高められているという。このプラットフォームは都市交通管理に伴うニーズ全体に応えるため、年間60億から360億件のレコードを分析するとともに、複雑な分析や照会を含むさまざまなアプリケーションの条件下での性能を改善するという。例えば遺失物処理のためのアプリケーションでは、問いわ合せに費やされる期間を数日単位から数分単位に短縮し、性能を1000倍近く高めることにより、乗客に提供するサービスの改善に貢献するとした。
試験運用のプラットフォームによるメリッには。「移動の特徴や交通ゾーンの分割、重要地域の経路分析といった都市交通計画」「都市交通のリアルタイム把握と交通状況、渋滞の監視や予測、交通状況全体の指標値、到達時間分析、地域と経路の予測」「バスやタクシー、鉄道の運行などの分析、公共交通の輸送能力と運賃補助、労働集約度の分析」などがあるとした。