前回の話で取り上げたElon Muskのつながりで地味な話題を1つ。
Elon Musk: The mind behind Tesla, SpaceX, SolarCity ...Solar for Your Home: SolarCity offers a cleaner, more affordable alternative to your utility bill
Muskが会長を務めるSolarCityという会社(註1)は、Muskが自ら経営するTesla MotorsやSpaceXと比べると、どうしても「地味な存在」という感じがしてしまう。電力の小売事業者(註2)会社の性格もあるだろうし、あるいは画面映りの良い電気自動車(EV)やもの珍しいロケット(註3)のようなものがないためかもしれない。
投資家からの評価は上々のようで、2012年12月に公開した株式はこの1年間で大きく上昇(註4)しているけれど、これも「TSLA」(Tesla株価)の大きな値動き(10月初旬まで続いた急上昇とその後の大幅下落)の前ではやはり話題性でインパクトに欠ける……そんなことも手伝ってか、SolarCityのことをMusk抜きで取り上げた記事というのは、見かけた覚えがほとんどない(無論例外もあって、3月にはFortuneのAdam Lashinskyが、CEOのLyndon Riveに取材した動画付きのインタビュー記事(註5)が公開されていたが、これほどボリュームのあるものはかなり珍しい)。
さて。そのSolarCityが一部の契約者の家庭に、Teslaのバッテリーで作った蓄電池を配り始めているという記事が、QUARTZ(註6)に米国時間11月27日付で掲載されていた。
・Why SolarCity and Tesla are going to replace your utility - QUARTZ
会社側からプレスリリースが出ているわけでもなく、ほかの媒体からこの話に関する記事が出ているわけでもないところから察すると、おそらく「たまたま試験導入者の話が聞けたので、それを元に記事をまとめた」といった性格の記事かもしれない。
この記事には「Tesla製のリチウムイオン・バッテリー(ただし容量は10 kWh)が、ソーラーパネルで発電した電力のストレージ用として、約300世帯のSolorCityユーザーの家庭に導入された」とか、「ユーザーはこれを実質月額40ドル以下でリース利用できる」といった説明に加えて、「これがあれば、電力需要のピーク時に電力会社からの電気を使って、高い割増料金を取られることもない」といったユーザー(Model Sのオーナーでもある)のコメントも紹介されている。Model Sに搭載されるバッテリは、60kWhとか85kWhとかだから、それとこのストレージ用バッテリーを併用できるとなると、理屈の上では70kWh――丸3~4日分くらいの電気をため込めることになるのかもしれない(註7)