NECは12月3日、スマートフォンなどのモバイル端末を使い、アクセスポイントを増やすことなく高速な情報配信ネットワークを構築する技術を開発したと発表した。

モバイル端末だけで構成する情報共有ネットワーク
この技術では不安定なネットワークにおいても、各端末でデータを蓄積し通信可能時に小セグメント単位でデータの転送ができる「DTNマルチキャスト配信技術」を用いている。配信途中のデータ欠落を多数の受信端末同士で補完するため、送信側の手順は今までと同様という。
ネットワークに多数の端末が集中した環境では 各端末に搭載したアプリケーションが電波が届く範囲にある多数の端末を、送信タイミングに沿って自律的に制御できる。複数の端末からの同時送信を回避し、パケットの衝突を抑制するという。
また、ネットワーク全体の状況を把握し、情報の優先度に応じて各モバイル端末の送信タイミングを決定する技術を東北大と共同で開発。警報や応援要請など緊急性が高い情報を優先的に発信し、低遅延で広範囲に拡散することが可能とした。
大規模災害時など、通信事業者のネットワーク設備の損壊、通信の混雑、停電により広域で通信が利用できなくなった場合や、無線通信を利用する端末が集中して通信速度が低下し、ネットワークにアクセスしにくくなるケースに有用と説明している。