さまざまなユーザーがプライバシー保護に活用
Hotspot Shieldには無料版と有料版があり、ソースネクストが販売するのは有料版を日本語にローカライズしたもので、年間2980円(ダウンロード版、パッケージ版とも同価格)で最大5つの端末で使えるライセンスとなっている。iOS/Androidのモバイル端末に加えWindowsやMacにも対応しており、自由に組み合わせて使うことができる。
Gorodyansky氏は、いくつかの利用例を紹介する。 「例えば、医師と患者の間の通信を暗号化するために使っているケースがあります。病名や薬剤名などセンシティブな情報を外部に漏らさないように、という目的ですね。また、特に女性がSNSなどを使う際に、アクセス元の情報を隠すのに使う例もかなりあります」
23歳で起業したGorodyansky氏。「きっかけは、世界中の人たちが安全なインターネット接続を利用できるようにしたいと考えたからです。インターネット上のプライバシー問題は、数年前なら気にする人だけのものでしたが、最近では認識が高まってきていると感じています。1億ダウンロードを突破したときにもアナウンスしましたが、これからはインターネットを使う全員が意識するべきものだと考えています。
そのため、当初はユーザーのプライバシー保護を主なユースケースとして提供していました。しかし最近では、ロケーションによってアクセスの制限を受けるケースも多くなり、それを回避するために使うケースが増えてきたため、アクセスの自由もユースケースの1つに加えています」(Gorodyansky氏)
日本市場への期待と今後の展開
AnchorFreeが日本市場へ本格的に進出するのは今回が初だが、Hotspot Shieldは以前から日本でも(英語版だが)利用することは可能だった。日本からも相当数のダウンロードがあったとのことで、プライバシー保護やアクセスの自由度を求めるユーザーが主に利用していたと思われる。その日本市場について、氏は次のように期待を語っている。
「日本にはウイルス対策ソフトのユーザーアカウントが5000万以上あると言われ、世界的にみてもセキュリティ意識が高い国です。その全員にHotspot Shieldを伝えたいと考えています。それがわれわれの目標です」
なお、VPNを導入したからといって、他のセキュリティツールが不要になるわけではない。例えばウイルス対策ソフトは端末に入ってくるデータに紛れ込んだマルウェアを検知、排除するもの、ファイアウォールは端末に出入りするデータの流れを制御することで安全性を高めるもの、そしてVPNはインターネットとつながる経路の安全性を向上させるもの、それぞれ全く異なった役割を担っており、組み合わせて使うのが望ましい。ソースネクストでも、ウイルス対策ソフトなど他のセキュリティ製品と組み合わせた提案してゆくとのことだ。
また、製品としてコンシューマーへ向けて販売するだけでなく、BtoB事業にも乗り出していく方針だという。
「2014年早期には、アプリ開発者などへ向けてSDKの形でVPNサービス提供を開始する予定です。このSDKを使うことで、VPNのためのインフラを用意することなく、『Powered by Hotspot Shield』としてアプリ内に組み込むことができ、セキュアな通信をエンドユーザーに提供できるようになります」(Gorodyansky氏)