筆者なりの言い方をすれば、これまではICTといっても「C」だけのイメージが強かったシスコが、いよいよICTの総合ベンダーとして本格的に打って出ると。それくらいのインパクトがある一大戦略ではないか。これまで事業戦略の発表会見に姿を現すことはほとんどなかったというChambers CEOが、自ら説明したところを見てもその力の入れようをうかがうことができる。
「クラウド連携型ロボットをさまざまなコミュニケーションに活用してもらえるようにしたい」(NEC 保坂岳深 執行役員)
NECの保坂岳深 執行役員
NECが先ごろ、クラウド連携機能を備えた小型ロボット「PaPeRo petit」(パペロプティ)用のアプリケーション開発やサービス提供を行う「PaPeRoパートナープログラム」を開始すると発表した。
ロボット本体とクラウドサービスを組み合わせることで、高齢者や子どもの見守り、住宅セキュリティといったさまざまなサービスを実現するという。保坂氏の冒頭の発言は、その発表会見で、この事業の責任者として意気込みを語ったものである。
PaPeRo petitは、身長24cm、体重1.3kgで、従来の「PaPeRo R500」と比較して半分のサイズに小型化し、家庭や店舗など身近な生活空間になじみやすくしたという。本体に組み込む機能を制限し、一部の機能をクラウド基盤へ移行することでロボットの小型化を実現した。
また、カメラやマイク、人検出センサーを備えており、複数のセンサーを組み合わせることで温度、距離、角度から暗い場所でも人を検出できるほか、検出後は人の方向を見て話すという自然なコミュニケーションを行えるという。さらにクラウド上の認識技術と組み合わせることで、画像認識や音声認識を行うことも可能としている。
同社では、このPaPeRo petitを活用したアプリケーションを提供するためのクラウド基盤として、クラウド連携型ロボットプラットフォームを用意。同社が提供するM2Mサービスプラットフォーム「CONNEXIVE」にロボット用機能を加え、デバイス管理やサービス管理などを行えるようにしたという。
今回発表したPaPeRoパートナープログラムでは、「アプリケーションパートナー」と「ビジネスパートナー」を募集する。アプリケーションパートナーはクラウド連携型ロボットプラットフォームのAPIを活用してアプリケーションを開発し、ビジネスパートナーがエンドユーザーにサービスを提供する役割を担う。
同社では、当面の目標として両パートナーを合わせて100社ほどと契約することを目指しているという。すでに数社と契約を結んでおり、来年1月から具体的なサービスを提供していく予定だ。
クラウド連携機能を備えた小型ロボットの活用に向け、エコシステムがどれだけ広がるか。さまざまな用途が考えられるが、ビジネスモデルとして定着するか。ユニークなビジネスだけに注目しておきたい。
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