災害への備えの重要性を啓蒙するのは義務
--日本では、2011年に東日本大震災があり、多くの人々や企業は災害対策に対し意識が高くなったが、2年が経過して関心が薄れている感がある。
人間は時間の経過とともにどうしても災害の恐怖や危機への備えなどを忘れてしまいがち。われわれのような、バックアップや復元、障害、災害対策を事業としている企業とメディアはバックアップの大切さを啓発、啓蒙していく義務があると考えている。日本では地震がよく起こり、今後も大きな地震が起こる可能性があるのだから。
--災害とともに外部からのコンピュータへの攻撃が一層凶悪化している。
コンピュータのソフトを日々使っている人々は、マルウェアなどについては、かなり心配してウイルス対策ソフトを装備しているが、それでシステムを本当に保護できているとは言えるのか。セキュリティに加え、(データの)複製を持っていた方がより安全だ。多くの企業はこれまでこの点に気づいていなったようだ。ウイルス対策ソフトは受け身であり、真に脅威への対抗ができているとは言えない。新たなウイルスが発生すれば、すぐには対抗できないからだ。バックアップは、障害が発生しても、原状復帰が可能なのであり、これこそが重要だと考えている。
データを完全に失うこと自体が大変なコスト
--プラットフォームの多様化やモバイルの進展をどうみているか。
インフラに関連したソフトを扱う企業は、どんどん負荷が大きくなっている。プラットフォームが多様化し、Windowsだけを見て、Microsoftが何とかしてくれるという仕事ではなくなった。Linux、Mac、iOS、Androidなどさまざまなものがあるが、当社は、これらすべてに対応できる。モバイルでは、確かにiPhoneは非常に便利だ。しかし、紛失しても、データをある程度なくすくらいですむかというと、そうではない。紛失後、新しい端末を買って、データを復元するのに時間がかかる。Android端末だともっと厄介だ。
そのため、逆に、バックアップのノウハウに通じたわれわれとしては、モバイル向けに食い込める可能性が大きくなる。ITが一層進化している中、データ管理のための時間はますます乏しくなる。煩雑さも増している、そこで、バックアップは日用品のように扱ってくれればいい。スマートデバイスなどの端末を紛失しても、バックアップが万全であればデータは失われない。
--バックアップなどの重要性を理解している企業は増えているが、コストの問題が障害になっている。
ストレージにかかるコストは下がっている。IT関連の経費に占める割合は大きくなっていない。通常のストレージのコストと比較すると、バックアップのためのストレージコストは下がっている。というのは、通常のストレージは高速なものを用意しなければならないので割高になる一方、バックアップに必要なストレージはそれほどの速度を要求しないからだ。
コストで比較すると、バックアップのコストは明確に下がっている。というより、データを完全に失うこと自体が、大変なコストであるとも言えるのではないだろうか。バックアップに投資した方が経営にとって資するものが大きい。データが経営において重みを増してきている昨今、バックアップに投資するか否を選択肢とするのは果たして適切なのだろうか。金融などの業務によっては、データ保護は義務だ。バックアップを備えることで、かえって効率は上がる。