本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本オラクルの椎木茂 副社長執行役員と、国立情報学研究所の佐藤真一 教授の発言を紹介する。
「日本企業がこれから競争力を高めていくためには、マーケティング改革が必要だ」 (日本オラクル 椎木茂 副社長執行役員)
日本オラクルが先頃、マーケティング活動の自動化を実現するSaaS型サービス「Oracle Eloqua」を国内で提供開始すると発表した。同社でアプリケーション事業を統括する椎木氏の冒頭の発言は、その発表会見で同サービスにより日本企業にマーケティング改革を促したものである。

日本オラクル 椎木茂 副社長執行役員
Oracle Eloquaは、イベントやセミナー、広告などで取得した多数のリードから、有望な見込み客として営業部門に情報を渡すまでのプロセスを自動化するツールである。具体的には、見込み客のオンライン上の行動とプロファイル情報を基に案件に点数をつけ、個人の興味とその度合いに合った内容を提供することで、自社製品への関心と理解を高めてもらおうというものだ。
さらに、提案すべき製品や検討状況を特定しながらキャンペーンを実施することで、リードから見込み客に育成し、商談数を増加できるようになるとしている。会見で説明があった同サービスの内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは椎木氏が説いたマーケティング改革に焦点を当てたい。
椎木氏はまず、昨今の市場環境の変化について、「グローバル競争の激化」「製品のコモディティ化」「従来型のマーケティングに対する疑問」「顧客からの期待値の増加」の4点を重要なトレンドとして挙げた。
そして、これらに対してマーケティングに求められていることとして、グローバル競争の激化には「新市場での顧客開拓力の強化」、製品のコモディティ化には「価格競争に陥らない顧客との中長期な関係づくり」、従来のマーケティングに対する疑問には「顧客とのコミュニケーションの変革」、顧客からの期待値の増加には「顧客経験価値(カスタマーエクスペリエンス)の向上」といった点を挙げた。