米Dellは米テキサス州オースティンで米国時間12月12日、3回目の年次イベント「Dell World 2013」を開催した。初日の基調講演に創業者兼最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏が登場、約6200人の顧客やパートナーを前に、10月に完了した非公開化と今後のビジョンについて話した。
Dell氏は、新製品と合わせてクラウド分野を中心にGoogle、Microsoft、Red Hat、Dropboxなどとの提携を発表し、非公開企業として活発に戦略を実行に移していることを強調した。

創業者兼最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏
「世界最大のスタートアップに」--原点を振り返る
Dellは2月に発表した非上場化の手続きを10月末に完了した。この動きについては当初から「中長期的視野に基づいて戦略を立て、執行するため」と説明している。この日、ホームグラウンドのオースティンでステージに立ったDell氏は非公開化について「大胆な動きが必要だった。これを自由に実行できるようになった」と述べる。
「大胆な動き」の例として、PC、タブレット分野の革新、新規事業となるソフトウェア、データセンターへの強化や途上国市場の積極展開などを挙げる。非公開企業となった現在、「世界最大のスタートアップのような気分だ」とDell氏が述べると、会場からは拍手が起こった。
Dell氏はルーツを確かめるかのように、約30年前に遡って自身の起業時の話をした。当時テキサス大学の学生だったDell氏は寮でIBMのPCを分解、コンポーネントがすべてほかの企業製であることが分かった。
「合計のコストの4倍の値段でIBMが販売している。これはフェアじゃないと思った」とDell氏。もっとコスト効率の良い方法で組み立てて価格を下げれば、もっと多くの人が購入できる価格になる。
「その方法があるはずだ――このチャンスは無視できないほど大きかった」とDell氏は振り返る。その結果、大学を退学してビジネスとして立ち上げることにした。手持ちは1000ドルだった。
Dell氏の狙いは的中した。「最初の8年は年成長率80%増で成長した」という。Dellは世界のPC、サーバのパラダイムの立役者となり、PCとサーバはITの屋台骨となった。
「世界を塗り替えているという興奮があった」とDell氏。PCを購入できなかった途上国の人に少しずつ行き渡り、グローバル経済に参加できるようになった。「Dellの成長はグローバリゼーションと技術の受け入れ曲線と同じだ」という。
PCとサーバのモデルが広がった2005年までの約20年間、世界で貧困状態にある人の数は2分の1に縮小したという。「これがDellのストーリーだ」と48歳になるDell氏は胸を張る。そして、同じような興奮を今度は自社顧客の成功を通じて感じていると続けた。