アプリケーションのユーザーインタフェース
アプリケーションの実装においては、操作する人と対にしてユーザーインタフェース(UI)に注目する必要がある。モバイルデバイスはその画面の狭さから、迷わず操作ができること、視認性がよいこと、操作時のフィードバックがあることなどが求められる。ただし、それを実現する前提となるのが、デバイスを使う「人」の特性であり、そのことから、第3回で言及しているようなトータルなペルソナに基づくUIの設計が必要となる。
詳細は次回に譲りたいが、移動環境での操作を前提とする場合、自由度の高いウィンドウ環境ではなく、入力や記述形式をあえて制限するインタフェースか、逆により直感的に画面のどこを触っても操作可能なビジュアルインタフェースが必要とされる。
前述のアプリケーションとインタフェースを合わせて実現するのが、MEAP(Mobile Enterprise Application Platform)と呼ばれる企業向けモバイルアプリケーション開発プラットフォームだ。導入が必須ではないが、1つひとつのアプリケーションを個別にモバイル対応するにはあまりにも開発や移行が非効率であり、また共通化可能なUIのツールキット、アプリケーションのライブラリをプラットフォームとして実装しておくことは今後、増殖する業務アプリケーションのモバイル化に対しては必須の取組みと言えよう。
データセキュリティ
モバイルデバイスの導入段階で避けて通れないのが、セキュリティの問題だ。
セキュリティ対策は企業環境の中でトータルなガバナンスが最たる領域で、当然ながらモバイルであってもその例外ではない。しかしながら、職種、業務/アプリケーションのカテゴリによっては一律のセキュリティポリシーではなく、カテゴリ別にセキュリティポリシーを設定することが求められる。社外へのデバイス持ち出しを禁止するという硬直化したモバイルが前提ではないセキュリティの世界観から、デバイスが持ち出されることを前提としたセキュリティのあり方が求められる。
それに対し、デバイスレベルでの管理となる、MDM(Mobile Device Management)やアプリケーションレベルの管理となるMAM(Mobile Application Management)、さらに近年ではMCM(Mobile Contents Management)へとより高位レイヤーへと焦点が遷移してきている。これも運用効率とのバランスから、カテゴリ別にどのようなレイヤーでの対応を実施するかを定義する必要がある。
エンタープライズモバイルのストラクチャ
以上、ここまで述べてきたエンタープライズモバイルにおける業務、アプリケーション、ユーザーインタフェース、セキュリティの考え方をトータルにまとめたものが図である。業通プラットフォームの上に、業務タイプ別、ユーザータイプ別に個別最適化が必要となることがわかると思う。