「革新は序章」--デルの事業トップが話すRed Hat、Dropboxとの提携 - (page 2)

末岡洋子

2013-12-27 11:40

将来に対応できるデータセンターへ

 サーバ/ストレージなどのエンタープライズ製品では「将来に対応できるデータセンター」がポイントとなる。「ITを取り巻く環境が急速に変化しており、ウェブ技術がコンピューティングの革命を加速している」と同事業部を率いるMarius Haas氏は背景を説明する。Dellの考える将来のデータセンターとは、Swainson氏の言葉通り「ソフトウェア主導」が特徴だ。

エンタープライズソリューショングループ・プレジデント兼COOのMarius Haas氏
エンタープライズソリューショングループ・プレジデント兼COOのMarius Haas氏

 「既存のソリューションと比較して優れたバリュープロポジションを、低コストで提供することで市場を崩壊する」とHaas氏は自信を見せる。PCでの成功パターンをエンタープライズシステムを再現する。具体的には、標準ベースのプラットフォームを土台とし、次世代のアプリケーションとソリューションに対応するというものだ。「ウェブ技術がもたらす革新と既存のITインフラ環境の両方を組み合わせる。これにより次世代のコンピューティングの要求に応じることができる」とHaas氏。

 会期中、アプリケーションではRed Hat、ソリューションではAccentureと手を組んだと発表した。Red Hatとの提携は「OpenStack」ベースのプライベートクラウド製品を提供するもので、Dellはハードウェアとサービスを提供する。「OpenStackを次のレベルに引き上げる」とHaas氏は業界へのインパクトを予想する。

 Haas氏はこれに加え、Microsoftの「Hyper-V」でもリファレンス設定を提供しており、これを利用してプライベートクラウドを構築できるほか、Dellのコンバージドインフラ「PowerEdge VRTX」を利用してNebula、Eucalyptusの2社がプライベートクラウドシステムを構築していることも紹介した。クラウドではまた、会期中にMicrosoft、GoogleがDellのパブリッククラウドパートナーとなることも発表した。

Dellの考える将来に対応できるITインフラ。ソフトウェア定義、アプリケーションとシステム管理フレームワークの統合により変化に柔軟に対応する
Dellの考える将来に対応できるITインフラ。ソフトウェア定義、アプリケーションとシステム管理フレームワークの統合により変化に柔軟に対応する

 Accentureとの提携は「サービスとしてのIT、DellのインフラとAccentureのサービスを統合することで、予測可能で短期に実装できるようにする」と登壇したAccentureのMartin Cole氏(技術担当グループチーフエグゼクティブ)は言う。

 具体的には、1)AccentureがMicrosoftと共同出資するシステムインテグレーターのAvanadeによるMicrosoftの技術を中心としたプライベートクラウド、2)インフラ、Microsoftアプリケーション、ITサービス管理を組み合わせたアプリケーションプラットフォーム、3)DellのSecureWorksを組み合わせたセキュリティの3分野となり、「次世代のコンピューティング環境への移行を支援する」という。

 提携だけではなく、ハードウェア事業側の進展にも触れた。会期中、「FluidCache for SAN」のほか、フラッシュベースのストレージをディスクの価格で得られるという「Dell EqualLogic PS6210」シリーズなどを発表した。Haas氏はこれらの最新技術を紹介しつつ、「Dellのイノベーションの始まりにすぎない」と述べる。そして、「今年の春にはコンピューティングとは何かを変えるような革新的なソリューションを発表する」と予告した。VRTXのようなコンバージド技術とストレージがキーワードになるようだ。

 PCやタブレットなどの端末事業のエンドユーザーコンピューティングも、引き続き重要なDellの柱だ。同事業部でグローバルセールス担当プレジデントのDavid Schmoock氏はBYOD、新興市場などの成長要因に触れながら、この秋に発表した「Venue」タブレットシリーズ、ビジネス向けのノートPCライン「Latitude」や2-in-1の「XPS」の新製品を紹介した。

Dellのグローバルセールス担当プレジデントのDavid Schmoock氏
Dellのグローバルセールス担当プレジデントのDavid Schmoock氏

 端末分野では「購入」「所有」「選択」の3つで端末に関連する体験を容易にする。購入では6月に「Smart Selection」を導入した。オファーの簡素化、迅速な配達のニーズに応えるもので、データを基に要望の高い構成を1日で届ける。すでに法人顧客の3件に1件が事前設定カタログを利用しており、開始以来600万件以上の注文があったという。

 所有ではEサポートを強化し、選択ではセキュリティを強化する。「46%のビジネスデータが社外に保存されており、3分の2は無料のファイル共有プラットフォームを利用して企業データを共有している一方で、1カ月で作成される悪意あるプログラムの数は2億8000万件といわれている」とSchmoock氏。

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