トップインタビュー

管理層と現場をつなぐことが必要--トーマツ、セキュリティ研究所を設立

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2013-12-26 18:59

 トーマツは、企業や組織において急速に高まっているサイバーセキュリティリスクに対応するため、2014年1月に情報セキュリティラボ「デロイト トーマツサイバーセキュリティ先端研究所(Deloitte Tohmatsu Advanced Research Laboratory of Cyber Security:DT-ARLCS)」を設立する。今回、同研究所の設立の経緯、今後の展開などについて、所長である丸山満彦氏、主任研究員である岩井博樹氏、白濱直哉氏に話を聞いた。

技術と人の両方の脆弱性に対応

--設立の背景を教えてください。

丸山氏 現在の企業などの多くは、ルールを整備するリスク管理部門と、実際にアプライアンスの導入などを実施する情報システム部門が独立してしまっており、充分に連携している状態とは言えません。管理側ではなんとなく網羅的にルールを策定していますが、実装までは至らず「絵に描いた餅」になっています。一方、現場のシステム部門では、ベンダーに提案された製品を「たまたま」導入していくような状況が続いています。


所長 丸山満彦氏

 つまり、技術的な脆弱性への対策と、人的脆弱性への対策が独立してしまっているため、双方を狙うセキュリティインシデントへの網羅的な対策や対応が十分にできていないのです。そこをつないでいかなければなりません。

 私たちはもともと監査法人ですので、ルールの整備は得意分野です。そこで現場側、つまり技術的な部分をさらに強化することを目的にDT-ARLCSを設立しました。これにより企業などのガバナンスとマネジメントの有機的な統合、結合をお手伝いします。設立までに3カ月をかけて準備や調整、人材育成を含めた仕組み作りなどを実施しました。

--強みはどんなところにあるのでしょう。

丸山氏 会計監査では、アクセスコントロールといったセキュリティが重要になります。また、インターネットバンキングなどはもちろん、企業の活動がインターネットベースになってきています。インターネットが入口になるので、そこのセキュリティは欠かせません。そういった監査やコンサルティングで培ったノウハウは強みだと思います。


主任研究員 白濱直哉氏

白濱氏 技術に強い研究所はたくさんあります。技術はもちろん大きな柱ですが、それをどうマネジメントに落としていくか、実際に会社が自分たちの体制の中に技術的な知見をどう取り入れていくかまで対応している研究所はほとんどありません。技術だけをわかっていてもダメです。会社の業務を理解してどうインプリメントしていくかが非常に大事なのです。技術と管理、現場と管理側をシームレスにつなげていく。そのための陣容をそろえています。それがDT-ARLCSの大きな目的であり、強みだと思います。

 また、監査法人系でグローバルに展開していることも強みです。私たちは「AsOne」と呼んでいますが、世界の情報を集約してDeloitteとして一丸となって取り組んでいます。そのために情報のやり取りや人材の交流も活発です。例えば、年に1度、アジア太平洋のセキュリティの人たちが集まる会などに出席して、直接情報交換しています。人と人とがつながる機会が非常に多いことも、大きな強みです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]