家電のIoT活用では、洗濯機がより便利になるかもしれない。誰でも経験があると思うが、洗濯機はある日突然に壊れることがある。例えば、洗濯機の稼働データをメーカーが把握、メーカーはそのデータから故障する可能性がある日時を購入客に伝える。洗濯機の使用者は、故障する前に何らかの対処を取ることができる。
ゲームのルールが変わる
IoTの世界にはさまざまな可能性があると言える。企業にとっては既存のビジネスを拡大するチャンスとなるし、もしくは全く新規のビジネスを展開できるチャンスにもなり得る。IoTには、非ITのGeneral Electric(GE)もすでに参入している。IoT市場は、既存のM2M関連ベンダーや組込機器関連ベンダーにとっても大きな市場になり得る。

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IoTの世界では、これまでなかった全く新しいビジネスが生まれる可能性が当然あり得る。つまりはIoTで「ゲームのルールが変わってくる」(池田氏)可能性がある。企業のIT部門は今後、IoTがどのような具体的な流れになってくるのかアンテナを張っておく必要がある。
池田氏のIoTに関連した講演では、企業のIT部門からの問い合わせが寄せられているという。それだけではない。IT部門以外の製品企画部門からの問い合わせもあるという。IoTに眠るビジネスの可能性は、IT部門だけがつかんでいるものではないからだ。場合によっては、「IT部門が新ビジネスのオーナーにもなれる」(池田氏)
IoTは、単にモノがつながるだけではなく、そこにさまざまなものを組み合わせてより価値を生むことができる。さまざまな方向にIoTの可能性が進み得ることも理解できるだろう。
ただ、注意しなければならないのは、データをどのように扱うかという問題だ。ここまでに挙げた可能性を見れば分かるように、プライバシー上の課題が含まれている。間違えれば、個人を不安に感じさせたり、不快感を与えることにもつながりかねない。JR東日本の「Suica」データ販売問題の顛末で分かるように、個人が生み出すデータをどのように取り扱うかは極めてセンシティブな問題にも発展しかねない。