モノのインターネットの衝撃

クラウドとHANAを車の両輪に、スピードと柔軟性を提供--SAPジャパン 安斎社長

大川淳 怒賀新也 (編集部) 2014年01月16日 09時06分

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 SAPは、統合基幹業務システム(ERP)のリーダー的存在として知られるが、昨今変化が見られる。クラウド、インメモリデータベース「HANA」、モバイル、アナリティクス、さらには、Internet of Things(IoT)、M2M(Machine to Machine)など、時代が必要としている事業分野への着手、その確立に積極的な姿勢を示している。SAPは、どのような方向に進んでいくのか。SAPジャパン社長の安斎富太郎氏に聞いた。

成長へと舵を切った日本企業の経営層、求められるスピード感

--2013年には、どんな変化があったのでしょうか

SAPジャパンの代表取締役社長、安斎富太郎氏
SAPジャパンの代表取締役社長、安斎富太郎氏

 2013年は、SAPにとって変化の大きい年だった。日本が成長へと舵を切ったからだ。経営の重点として考える要素は、コスト削減と成長戦略が双璧だが、これまでは7対3でコスト重視の企業が多かった。だが、2013年にはこれが2対8に逆転、成長戦略に積極的な企業が多数派になった。

 ITを提案する側もコスト削減を前面に押し出してきたが、流れは変わった。企業が、守りではなく、攻めの経営に転じた。ここで必要となるのはスピードと柔軟性だ。時間との戦いの中で、成長戦略を構築していきたいとの声が強くなっている。外資系企業と日本企業では、速度感そのものが異なるのではなどと言われてきたが、ここにきて、われわれも日本企業に追いつかなればというようになってきた。スピード感が変わってきている。

 海外の企業を買収、合併した企業では、その海外企業がSAPのシステムを使っている例が多く、連携のため本社もSAPに変えようということがよくある。SAPは、20数万社に用いられている結果として標準化されているという点が評価されているのだろう。

--スピード化を望む声に対する施策はどのようなものでしょう

 われわれのソリューション提供の形態はかなりクラウドにシフトしている。SuccessFactors、Ariba、ByDesignなどを買収し、クラウド基盤を整え、提供優位性を確保している。インメモリデータベースのHANAは単一のオープンな製品で、さまざまな技術との相互互換性があり、高速だ。スピード化では、3つの部分がある。1つには、標準化によるスピードアップ。2つ目は、クラウド環境によるスピードアップ。3つ目は、ITの処理速度そのものを、オープンでシンプルなHANAで提供する。顧客のスピード感に合わせるのが、SAPの施策だ。

IoT、M2Mに必要な、3つの要素をSAPは持っている

--モノのインターネット、M2Mが本格的利用されるようになるといわれています

 IoT、M2Mは、海外でいくつかの例がある。M2Mでいえば、イタリアのタイヤメーカー、Pirelliでは、トラックのタイヤにセンサを取り付け、摩耗具合を感知する。荷重と摩耗の関連を調べるなどの例がある。リテーリング向けでは、店舗内にシステムを設置し、来店客のモバイル端末に、商品などについての個別的な情報を流す、といったことをこれからやっていく。アプリケーションの開発を積極化して、数多くのアプリケーションをそろえ、メニューを豊富にすることで、IoT、M2Mへの取り組みを進めていきたい。開発しやすい環境を整え、オープンなアプリケーションを提供していこうと考えている。HANAを中心に、オープンなコミュニティーを築き、第3者からの知恵をも持ち寄り、「場」を提供する触媒として当社は活動しており、この領域には力を入れている。

--IoT、M2Mを進めるうえで、SAPの優位性は、どのようなところにありますか

 HANAの強みは、高速であり、オープンでシンプルなことです。分析に長けており、どのようなアプリケーションでも載せることができデータベースを選ばないことだ。だから、開発者も扱いやすい。SAPは、アプリケーションとデータベースをうまくモバイル基盤の上に展開できる。高速性、汎用性、オープン性で、HANAは大きな可能性をもっている。M2Mは、自動車、買い物、生活のあらゆる局面で、すべての生活パターンに応じていくには多くのアプリケーションを載せていくことが重要になる。アプリケーションのノウハウ、それを載せるデータベース、さらに、モバイルの基盤、この3つを当社は持っている。

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