HPはx86サーバもUNIXサーバもトップ争いを続けてきただけに、最も変革を迫られていたベンダーといえる。今回の事業再編は、まさしくその具体策と見て取れる。市場の現状を踏まえた上で、“New Style of IT”に向けて変革に挑んだHPのサーバ事業。勢いよく上昇カーブを描けるかどうか、注目しておきたい。
「ビッグデータの活用に向けて、統計で培われた分析ノウハウが求められるようになる」 (慶應義塾大学大学院 渡辺美智子 教授)
SAS Institute Japanが先ごろ、ビジネスアナリティクス市場の動向をテーマに開いたメディア向け説明会で、慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科教授で日本統計学会役員も務める渡辺氏がゲストスピーカーとして「日本での統計教育の実態と今後の動向」と題してスピーチを行った。
慶應義塾大学大学院の渡辺美智子 教授
渡辺氏の冒頭の発言は、スピーチ後の質疑応答で、ビッグデータと統計の関係を問われて答えたものである。
ビッグデータと統計の関係については、関係者の間で論議になっているところがある。ビッグデータがすべてのデータを対象として分析するのに対し、統計はサンプルデータを基に分析することから、「ビッグデータの活用が進めば統計は必要なくなるのではないか」、あるいは「統計による分析で見出される傾向が有効ならばコストが掛かるビッグデータ分析など必要ないのではないか」といった論議だ。
この論議は、ビッグデータの活用が注目されるようになってきた一方で、統計学がブームになったこともあってヒートアップしてきた。統計学をかじってきた筆者も、実は後者の見方を胸に抱き続けている。
質疑応答での質問は、まさしくその論議について、統計学の専門家である渡辺氏に見解を求めたものだ。冒頭の発言を含めて、同氏の見解はこうだった。
「ビッグデータと統計における分析は異なるものだが、ビッグデータの活用に向けては、統計で培われてきた分析ノウハウが求められるようになると見ている。ビッグデータであれ統計データであれ、目的とするところの問題解決に向けた分析シナリオをきちんと描けるかが重要なポイント。そのノウハウは統計学で培われてきている」
どちらがいいか、ではなく、どちらも生かすべきというのが渡辺氏の見解のようだ。さらにもう1つ、同氏のスピーチで印象に残った話があったので紹介しておきたい。
「統計の統という字は統治にも使われるように、ガバナンスやマネジメントの意味合いもある。つまり、統計分析の眼目は予測だけでなく、マネジメントにもあることを知っておいていただきたい」
ちなみに、統計という言葉は日本語がベースとなってアジア地域に広がっていったそうだ。その含蓄をビッグデータにも生かしたいところである。
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