鍋屋バイテック(NBK)は基幹システムにビジネスインテリジェンス(BI)ソフトや高速分析処理が可能なインメモリデータベースソフトをつなぎ、作業時間の短縮や受注パターンの構築に取り組んでいる。製品を提供した日本IBMが1月27日に発表した。
NBKは機械要素部品メーカー。企画開発から製造販売までを自社で管理し、滑車やジョイント(軸継手)などの機械要素部品で日本国内の高いシェアを持つ。同社は「多品種・微量生産」に取り組み、現在ではグローバルにビジネスを展開している。6万点の製品ラインナップから、午後2時までに注文すれば当日発送ができるという提供体制を運用している。
NBKでは従来よりコンタクトセンターが見積り業務や、見積りデータの管理を担当してきたが、いつ受注完了したかがわかりにくく、確認作業に時間がかかっていたという。また、顧客の過去の販売実績や社員の知見をさらに活用することにより、販売力強化を狙っていた。
今回構築したデータ分析システムでは、見積り業務で利用しているLinux環境の顧客情報管理システム「Sugar CRM」に蓄積された顧客見積り履歴と、基幹業務向けサーバ「IBM i」で稼動する基幹システムの出荷データや受注データなど100万件を超えるデータを統合、BIソフトウェア群の「IBM Cognos」で分析する。
分析結果から受注につながるパターンを導き出し、類似見積もりや問合せ状況、顧客の購入状況などの参考情報をコンタクトセンターの担当者が画面で一覧できる「受注レシピ」を作成。受注レシピをコンタクトセンターが活用し、顧客に適切な提案を実施することで、受注率の10%向上を目指す。
データ分析基盤となるデータウェアハウスには、インメモリ環境上で、ロー(行)ではなくカラム(列)型データベースを運用できる「IBM DB2」を採用。仮想化によってパフォーマンスを必要とするアプリケーションに瞬時に動的なリソース配分を最適化するUNIXサーバ「Power Systems」などとを組み合わせ、およそ3秒で受注レシピへの情報表示が可能という。
現在x86サーバで稼働しているSugar CRMについても、今後Linux環境のPower Systems上に統合し、IBM Cognos、IBM DB2、SugarCRMのさらに緊密なアプリケーション連携とリソース利用効率の向上および運用負荷の軽減を目指す。
NBKは今後、コンタクトセンターだけでなく、営業部門、生産管理部門がデータに基づいて連携を強化。製品の販売傾向や顧客からの問い合わせ傾向などを分析、顧客満足度の向上や製品の開発にも活用する予定だ。