紙とペンだった“概念設計”をクラウドで共同作業--ソリッドワークス提供へ

田中好伸 (編集部) 2014年01月29日 07時30分

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 米SolidWorksは米国時間1月26~29日にイベント「SolidWorks World(SWW)2014」を開催している。事実上の初日となった1月27日の基調講演で、SaaS「SolidWorks Mechanical Conceptual」が4月2日から一般提供されることが発表された。1人あたりの月額料金は米国が249ドル、ユーロ圏が249ユーロとなっている。

アイデアをシステムに落とし込む

 Mechanical Conceptualは、設備機械や工作機械など、消費者向けの製品を作るための機械を開発するために利用するSaaSだ。こうした機械を開発するためには設計が必要となる。この設計にも、アイデアを形にするための“概念設計”と、概念設計をより具体的に製品化するための“詳細設計”の2段階に分けられるのが一般的とされている。これまでの概念設計は、これから作ろうとする機械が、どのような部品で構成され、どのような動きをするのかなどを紙をベースに手書きでまとめられる。

 今回のMechanical Conceptualは、これらの概念設計をデジタル化する。単純に紙の代わりにデジタルを使うことはもちろん、機械を構成する部品の寸法を長さや幅、奥行きという3次元(3D)の大きさを設計しながら計算して決めることができる。これまで紙という2次元(2D)をベースにして部品の寸法を決めていたのが、アイデアをまとめながら3次元の具体的な大きさに落とし込んで設計できるようになる。


SolidWorks CEO Bertrand Sicot氏
Aaron Kelly氏
SolidWorks バイスプレジデント Aaron Kelly氏

 SolidWorksが開発、提供する3次元CADソフトウェア「SolidWorks」などは、具体的な詳細設計の段階で活用される。それよりも上流の工程で活用されるのがSaaSのMechanical Conceptualだ。SolidWorksの最高経営責任者(CEO)であるBertrand Sicot氏はMechanical Conceptualについて、概念設計で活用されることに加えて、特徴として「直感的であり、ソーシャル技術でやり取りして、クラウド上にデータを置くことでどこからでもアクセスできる」という特徴を挙げた。

 同社でユーザー体験と製品ポートフォリオ管理を担当するバイスプレジデントのAaron Kelly氏は、Mechanical Conceptualが利用を想定している概念設計が「(設計全体の)3割を占めている」と説明。概念設計の段階で今回のツールが作業を“コラボレーティブ”なものにすると、そのメリットを説明している。

 基調講演ではMechanical Conceptualをどのように利用できるか実演された。その中でKelly氏は“直感的”という言葉について「CADのオーバーヘッドがない」と表現。オーバーヘッドがないことから「思考通りに設計できる」という。実演では、ウェブアプリケーションやSaaSで想像しがちな、“操作してから実際に反応するまでに時間がかかる”といった心配は無用に見えた。

 Mechanical Conceptualでは、ソーシャル技術を応用して会話しながら設計できる。「会話しながら設計することで時間を節約できる」(Kelly氏と同じ部門でディレクターを務めるKishore Boyalakuntla氏)。

 実演では、1つの企業の中で離れた拠点で概念設計を共同で進めるだけではなく、その企業に設備機械を発注する側も参加しながら進める様子も紹介した。つまり、機械がどのように動けばいいのかなどを開発する側、使う側の双方から意見を出しあうこともできる。このことからも、今回のツールではコラボレーティブという利点を強調している。

 これまでの概念設計では、紙という2Dの世界がベースとなっていた。Mechanical Conceptualでは2Dのデータを3Dにするために自動的に計算され、3Dになった部品や製品がどのように動くかも見ることができる。「デザインをしながら計算される」(Boyalakuntla氏)。3Dとなったアイデアはクラウド上に蓄積される。そのデータは必要になれば、いつでも取り出せる。つまり、アイデアを「未来で再利用して、流用することもできる」(Boyalakuntla氏)。

 Mechanical Conceptualでは、製品が一般に公開される前に利用できる「Lighthouse」プログラムが提供された。限定したユーザー企業に公開され、反応を確かめるとともに、フィードバックをツールに反映することも狙っている。

 あるLighthouseユーザーは「画を見ながらアイデアを出し合えることで時間を節約できる」ことをメリットとして挙げた。部品が稼働する様子を動画で見せることで、顧客からの理解を得られることもメリットとしてあるという。

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