NTTは1月28日、大規模災害時に通信の即時回復を可能とするICTカーの開発を発表した。ICTカーは、通話や情報処理などのICT環境の提供に必要な装置類をコンパクトに収容したバンタイプの自動車。
大規模災害時にはICTカーを被災地に搬送、設置し半径500メートルのエリア内のスポットを短時間にWi-Fiエリア化することができる。
例えば、通話機能の場合、被災者が契約する通信キャリアに関わらず、自身のスマートフォンと電話番号のまま、Wi-Fiエリア内にいる相手との通話が可能となる。また、光回線や衛星回線を通してICTカーを広域網に接続し、被災地の外側にいる相手との通話やインターネットの利用も可能という。
ICTカーには、「被災者データ収集システム」を搭載。従来、大規模災害下では、避難所での安否確認や管理を紙の手書き情報で実施していたが、同システムでは安否情報について、顔写真と免許証や学生証などにある氏名や住所、性別、年齢などのID情報をタブレット端末のカメラで撮影し、システムに登録することで即時に被災者情報のデータベースを構築する。
ICTカーに搭載された即時通信回復機能については、機能を絞り可搬性を高めた「アタッシュケース型ICT BOX」も併せて開発した。通話機能を提供するアタッシュケースには、通信交換機能を有するパソコン、バッテリ、Wi-Fiアクセスポイントを搭載した。
NTTでは今後、2月に高知県の南国市と黒潮町で、ICTカー活用の効果検証を目的とした実証実験を予定、1~2年以内に、NTTグループ各社や地方公共団体などへの導入を目指す。
また、2013年11月に発生した台風被害が甚大なフィリピン政府から、開発したICTカーで応急復旧での活用要請がNTTに寄せられており検討中であることを明かした。
ICTカーはNTTが東北大学、富士通、NTTコミュニケーションズと共同で推進する災害研究プロジェクトの一環で開発された。