2. 個人、小規模チームのブランド力増大
ここ一年余りの間に、大手新聞社の傘下で自らのブランド力をつけた個人や小規模なチームが独立、もしくは他のメディアグループに鞍替えする、といった動きが目立ってきている。Kleinの動きに触れたGigaOMのMathew Ingramは、そうした動きの代表例として、NYTimesからESPNに乗り換えたNate Silver(註6)、「The Daily Dish」という自分たちの政治系ブログをThe Daily Beastから独立させたAndrew Sullivan、WSJを辞めてThe Informationという「シリコンバレーの業界紙」的新媒体を昨年暮れに立ち上げたJessica Lessin、それにThe Wall Street Journalを離れてNBC Universalをパトロンに新媒体Re/codeを今年からはじめた旧AllThingsDチームなどの名前を挙げている(註7)。また、Yahooに引き抜かれて今年の年明けから「Yahoo! TECH」を始めているDavid Pogue(長年、NYTimesでテクノロジ製品レビューなどのコラムを連載)もそうしたなかに含まれるかもしれない。
それなりに長い間「軒下を貸してきた」つもりの親会社にとってはあまり面白くない話だろうが、金看板もしくは補助輪なしでもやっていけそうなところまで力をつけてきた新興媒体にとっては、元の親会社はもはや「身体に合わなくなった古い洋服」ということかもしれない。