誰もがイメージし易いマクロ視点の共通の話題から始まり、従来にない課題解決方法が実現できることを語る。これなら市場ボリュームや情景が想像しやすいため、アイデアの応用や派生も生まれやすい。ストーリーがメインデッシュで“モノのインターネット"という技術要素は単なる惣菜でしかない。もし、技術要素をメインデッシュにそえれば単なる勉強会で終わってしまう可能性がある。もちろん、勉強会も大切だが、より具体的なビジネスに発展しやすいストーリーを考え、語ることがこれからの広報には求められる。そして、語る相手が経営層に近いほど、技術の勉強会よりストーリーの共有が重要になる。
自分たちの商材を誰に届けるべきか。そのターゲットに響くストーリーは何かを考えるとき、米OracleCCOのBob Evans氏のジャーナリストととして培ったストーリーテリングの能力で、どのようなストーリーを作り出すのかが期待される。
技術の利用は顧客とともに考える時代
ソーシャルメディアやビッグデータは、これからの時代のノートや鉛筆のようなものだ。ツールを手にすることは誰にでもできるが、それをどう使うかは利用者にかかっている。後世に残る傑作小説を書く人もいれば、落書きを書き続ける人もいる。その落書きを書き続けている人に、技術のよりよい利用方法を提案すれば本来の才能を引き出すことができるかもしれない。
作れば売れた時代なら、製品の利用や活用の方法はユーザー任せで良かった。しかし、今世の中を賑わせている新しい技術の利用や活用方法のノウハウはどこの企業も試行錯誤の状態だ。新市場が拡がらないのなら、利用方法から啓発する活動が必要になってくるだろう。
本連載では、「これからの企業の新しい形」に必要な、新たな職位や組織機能を紹介していく。次回は「ユーザーコミュニティ」について解説したい。
- 大元隆志
- 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を13年経験。異なるレイヤの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。
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