次に、改善後の画面の上段のアイコンに注目していただきたい。ここには、アイコンがいくつか並んでいる。左から「いいね!」「優勝カップ」「チャット」「メール」「カメラ」のボタンがある。ユーザーはスマートデバイスに慣れ親しんでいる世代であるというペルソナから、このタブレット自体をSNS風に作り込んでいる。チームで動くこの会社の場合、案件の獲得を随時、顧客情報管理システム(CRM)の登録情報から吸い上げ、チームへ獲得情報を社内SNSで公開し、自分にも「優勝カップ」で表示される。

この獲得情報を見たチームメンバーが「いいね!」ボタンを押し、励まされるという具合である。また、社内SNSとしての情報共有「チャット」や日報報告機能などとして「メール」が一般的には備えられているが、「カメラ」のマークは、社内のコンタクトセンターにつながり、現場の映像をみながら対面で営業またはクレーム対応の担当者へアドバイスしてくれるというUX機能を盛り込んでいる。
そのほか、タブレットも7インチクラスを採用、デザイン性を重視し、フリックやドラッグアンドドロップを駆使したUI面の構成とし、UX面では、初期訪問時に顧客との会話の助けとなる顧客の業務の簡易診断ツール、料金シミュレーションや過去の商談ログからのレコメンドツールなど若手の営業担当者の業務をサポートすることに重点を置いた設計となった。
ペルソナがベテラン層であったり、ITリテラシーがそれほど高くないということになると、サイズは10インチクラス、UIデザインもPCのような慣れ親しんだものとなり、UX面ではその場で受発注できる機能などへと内容は大きく変わっていただろう。
- 千葉 友範
- デロイト トーマツ コンサルティング マネージャー 大学院在籍中にIT系ベンチャー設立に参画を経て現在に至る。業務改革プロジェクトを中心に実施し、近年では、デジタルデバイスを活用したワークスタイルチェンジや販売力強化など、戦略策定から実行支援までプロジェクトを多数実施。「会社で使う タブレット・スマートフォン2013」など執筆多数。
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