2014年1月23日、同氏はKickstarterに自分のキャンペーンを投稿し、目標を1万ドルに設定した。それから3時間で資金は目標に到達したが、Liukas氏自身でさえ、なぜこれほど成功したか分からないという。Liukas氏はプレスの取材も少し受けており、RailsGirlsコミュニティーからの支援もあったが、そのメッセージの何かが、口コミに乗ったようだった。2月12日時点で、この「Hello Ruby」プロジェクトは7700人の支援者を獲得し、32万ドルの資金が集まっている。締め切りまでには、まだ9日ある。
この絵本Hello Rubyには、ループ、シーケンス、変数、ソフトウェア技術などのコーディングの基礎を説明するワークブックが付いており、遊びの余地もたっぷりとある。Liukas氏は、資金が25万ドルに達したら両親のためのワークブックも作る計画だとしていた。
「物語は、概念を伝えるための強力な方法だ」と同氏は言い、「私は子供たちに、タイピングや課題を始める前であっても、ベッドの中でお母さんやお父さんに絵本を読んでもらいながら、テクノロジ業界やプログラミングの文化がどのようにできているかを理解できるようにしたい」 としている。

「Hello Ruby」は、テクノロジにおいて想像力を使うことを教えるための絵本だ。
提供:Linda Liukas
Liukas氏には、多くの人がなじみ薄く難しいものと考えているコンピュータプログラミングの世界が、暖かなものに見えている。同氏は、多くの子供が(そして大人も)、人間ではなくコンピュータがコードを書いていると考えていることに驚いている。これこそ、Liukas氏がRubyで変えたいと思っていることだ。テクノロジの文化や教育に関する誤解を解けば、IT分野の女性比率向上にも役立つと考えている。米教育省は、2011年には、計算機科学の学位取得者のうち、女性はわずか18%であり、最高情報責任者(CIO)のうち女性は12%に過ぎないと報告している。
なにより、Liukas氏は、女の子にプログラミングはほかのものと同じように、自己表現の手段になり得ることを示したいと考えている。「これはものづくりだ。無から有を作り出すことなのだ」と同氏は言う。
同様に、小さなRubyの想像力は、世界中の人々のコミュニティに浸透していくだろう。
早い時期からプログラミングに触れることの重要性
Jon Mattingly氏は6歳の頃、家の中にいることが多かった。娯楽の材料は両親の古いノートPCだけ。そこで、同氏は独学でコーディングを覚えた。プログラミング言語を覚えるのが早く、自分で解決できるまで静かに問題に取り組んだ。
Mattingly氏とGrechen Huebner氏は、アプリ開発の新興企業であるSurfscoreの創設者であり、エイリアンが主人公のアドベンチャーゲームを通じて子供にプログラムの基本を教える、同社の最初のiPad用アプリ「Kodable」の作者でもある。同社はケンタッキー州のルイスビルでスタートしたが、テクノロジ新興企業コミュニティへの参加度を高めるため、サンフランシスコのベイエリアに移転した。現在では、Kodableは教育関連新興企業が投資家から資金を獲得するのを支援するプログラムであるImagine K12に参加している。
Mattingly氏は、新興企業の創設者として、またプログラマーとして成功した理由は、早い時期に基礎を学んだことだと考えている。
「一番難しいのは、新たなプロセスや、問題解決の方法を学ぶことだ。本当に重要なのは構文や言語ではない」とHuebner氏は言う。

「Kodable」は 、小学校の児童にコンピュータプログラミングの概念を教えるためのiPadアプリだ。
提供:Kodable
調査によれば、子供に外国語を学ばせるには、幼児期がもっとも適しているという。ある研究では、5歳および6歳のバイリンガルの子供は、同時により多くの情報を把握し、それらの情報の間の切り替えをより容易に行える認知システムを持つ傾向にあることが示された。早い時期に言語に触れることは、明らかに有利であり、これにはコンピュータプログラミングの言語も含まれる。コンピュータプログラミング関連の職業は、2020年までに22%増えると見込まれている。