今週の明言

EMCジャパン社長が語る最大のライバル

松岡功

2014-02-14 12:32

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

「今後はAWSが最大のライバルになる」
(EMCジャパン 山野修 代表取締役社長)

EMCジャパンの山野修 代表取締役社長
EMCジャパンの山野修 代表取締役社長

 EMCジャパンが先ごろ、2014年の事業方針説明会を開いた。山野氏の冒頭の発言は、その会見の質疑応答で、これから最もライバルとなるベンダーはどこか、と問われて個人的見解と前置きしながら答えたものである。

 山野氏は会見で、EMCが2014年の事業方針のテーマとして「REDEFINE」(再定義ではなく新定義)というキーワードを掲げたことを強調した。そして、その理由を次のように説明した。

 「企業のIT活用がクラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルメディアの4つの軸からなる“第3のプラットフォーム”へ移行しつつある中、IT投資の目的がコスト削減や業務効率の向上といった従来の目的にとどまらず、利益を生み出す新たなビジネスの創出や人々の生活をより快適にするためのデータ活用など、幅広い方向に広がっている」

 「これにより、IT導入に関与する部門が、これまでの情報システム部門だけでなく、経営層に近いところにまで拡大しつつある。企業にとってIT投資を早急に定義し直すべき時期に来ているのである。EMCはそうした企業のビジネスパートナーとして、企業のITの在り方を新たに定義し、最新のテクノロジとサービスを提供していきたい」

 この事業方針に基づいて打ち出した重点施策については関連記事を参照いただくとして、ここでは山野氏が語ったライバルをめぐる話に注目したい。改めて冒頭の発言を前後も合わせて紹介すると、次のようなコメントだった。

 「従来のクライアント/サーバ型モデルに基づく“第2のプラットフォーム市場”では、IBMやHP、ストレージ分野だとNetAppなどがライバルだったが、第3のプラットフォーム市場で最大のライバルになるのはAmazon Web Services(AWS)だと思っている。EMCとしては強力なエコシステムとともに、AWSに対抗できるような戦略展開を図っていきたい」

 EMCはVMwareやPivotalといった有力なグループ企業をはじめ、ストレージ分野を中心に広げてきたエコシステムがある。今後、AWSに対応していく上でこのエコシステムが差異化ポイントになるというのが、山野氏の見立てのようだ。

 ライバルということで、もう1つ気になったのは、EMCグループが事業戦略のキーワードとしてこのところ使い始めた「Software Defined Enterprise」という言葉だ。「Software Defined xx」というのは最近のIT業界の流行語ともいえるが、例えばIBMは「Software Defined Environment」、略してSDEを標榜している。ふと見ると、Software Defined Enterpriseも略すとSDEだ。これは、SDEという言葉をめぐって激しいバトルになるのではないか。

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