2.Microsoftの個性を再定義する
Ballmer氏は、子犬のような意気込みと手堅いビジネスセンスという得がたい資質の組み合わせで、長年の間Microsoftの方向性を定めてきた。これをGoogleやApple、Amazonなどのライバル企業と比べてみよう。これらの企業もすべて巨大企業だが、それぞれの企業の原動力や発想については異なるストーリーがある。
これらのことが重要なのは、企業のストーリーは、賢いアイデアを持ったスタッフや、信じるに足るブランドを求めている顧客を引きつけるのに役立つからだ。Microsoftの新CEOは、同社についての新たなストーリーを語る必要がある。それも、Microsoftの反トラスト問題で特徴づけられるものとは異なる、新鮮なものでなくてはならない。Nadella氏にとってもう1つ必要なのは、Microsoftを多くの頭を持つヒドラから、制御可能な超大型タンカーに再生させる方法を見つけることだ。
3.Windowsの未来について判断する
「Windows」と「Office」は、数十年の間Microsoftを代表する存在だったが、永遠にそうではないというのは、十分にありえることだ。Microsoftは、今では単なるデスクトップソフトウェアと「Word」の企業ではない。恐ろしく多様なソフトウェア企業であり、今ではハードウェア企業でもある。
WindowsとOfficeは、タブレットやスマートフォンを使っている消費者に対しては、古くからあるデスクトップの世界の労働者に対してほどの魅力はない。また、「Windows 8」も、Microsoftが必要としていたほどの大ヒットではなかった。このため、MicrosoftはWindows(特に「Windows RT」、「Windows Phone」、Windows 8)の役割を再考する必要に迫られている。Officeの将来もまた、大きな課題だ。Microsoftは、いつまで「iPad」用のOfficeを遅らせるつもりだろうか。
4.法人顧客と一般消費者の間のバランスを取る
Microsoftの原動力がエンタープライズ事業にあることは疑いの余地がない。新CEOにとっての課題は、そこに将来の成長を求めていくのかどうかを決めることだ。
AppleやGoogleのような、派手でより魅力的なライバル企業は、過去10年間で消費者のイマジネーションを捉えたが、それに比較するとMicrosoftは時代遅れで、後退したように見えた。しかし、コンシューマライゼーションの台頭により、IT企業が一般消費者からの支持を得られなくなると、企業からの支持もそれに続く危険が大きくなっている。
Microsoft製品をデータセンターに置くことについて、企業の最高情報責任者(CIO)に引き続き満足してもらえるようにするには、同社は再び消費者を魅了する必要がある(そしてこれまでのところ、スマートフォンとタブレットではそれに失敗している)。これはおそらく、Surfaceのような、企業のために作られ、一般消費者を置き去りにしているような製品を減らすことにつながるだろう。Microsoftはもっと積極的に、職業人向けではなく、明確に消費者向けの製品(主にスマートフォンやタブレット)を作る必要がある。