JALの再建--社員の意識改革を支えたグループウェア活用法 - (page 2)

岡田靖 怒賀新也 (編集部) 2014年03月06日 07時30分

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現場に「情報オーナー」を設置

 INSUITEによる新ポータルの導入に際しては、旧ポータルに登録されていたコンテンツの棚卸しが行われた。その結果、ほとんど誰も閲覧せず情報更新も行われていない、いわば「作りっぱなし」状態のコンテンツが過半にのぼったという。

 これらは新ポータルには引き継がず、念のために外部メディアへ書き出して保管するにとどめた。

 また新たにコンテンツの管理ルールも規定した。ポータルに関する業務は総務部が「業務オーナー」として管轄、システムの構築、運営を担うIT企画部は「システムオーナー」、コンテンツそのものの運用については「情報オーナー」、すなわちユーザーが管轄するという体制となっている。

 情報を主に利用するユーザーの中にコンテンツ管理者を明確に定め、またその人物が異動するなどした場合にもきちんと継承するようルール付け、管理責任の所在を明確にしたのだ。

 特に、複数の部署が利用する情報では、どの部署が情報に責任を負うのかがあいまいになりがちだからだ。

 例えば空港に関する情報は、空港本部をはじめ運航部などさまざまな部署が利用し、情報をアップしているが、管理責任は空港本部にあるといった具合である。この情報オーナーは、本部や部署(運航、客室、整備など)、グループ会社ごとに、各1~2人ずつの配置となっている。今のところコンテンツは60~70項目で、情報オーナーは合計100人弱ほどになるという。

年末にコンテンツの棚卸し

総務本部総務部 マネジャー 垣田健一氏
総務本部総務部 マネジャー 垣田健一氏

 運用開始から2年ほど経過した2013年末には、INSUITEに移行して初めてコンテンツの棚卸しを実施した。この棚卸しは移行時から想定していたもので、業務オーナーである総務部が主導している。定期的にチェックすることで不要なコンテンツを削除するだけでなく、情報の管理ルールを徹底するという意味合いもある。コンテンツリストアップして台帳を作り、現場の情報オーナーに中身の要不要を判断してもらった。

 「運用開始から2年が過ぎ、アクセスされなくなった情報も増えてきています。情報の中身は、われわれが見ても分かりません。つまり、PDCAサイクルを回す上で現場の情報オーナーによる棚卸しは不可欠なのです。また、人事異動の結果、情報オーナーが別の人に引き継がれたケースもかなりあります。情報オーナーの引き継ぎはワークフローで処理されているはずですが、それがきちんと使われているかも、同時に確認しました。これは今後、毎年行っていこうと考えています。コンテンツのビルド&クラッシュのサイクルを回していけるよう、定例化する方針です」と垣田氏は説明する。

会社全体の情報に全社員が触れる環境を

 新ポータル(社内では“INSUITE”と呼ばれている)では、旧ポータルにはなかった情報も掲載されるようになった。JALグループでは再建に当たって部門別採算制を取り入れているが、ポータルの情報に関しては全社員に向けた内容のコンテンツが大幅に増えた。

 「もちろん、業務に直結する情報はその情報の利用者にだけ権限を与えて管理していますが、例えば、われわれ総務からは会社の情報を顧客より早く社員に知らせたい内容を掲載しています」(垣田氏)

必ずトップページを通る仕組みに

 特に全社員に周知したい情報は、ログイン直後に全員が目にするよう、トップページで開示しているという。トップページは、メールをチェックする際にもいったん必ずアクセスする。

 グループ全体の経営状態や安全や採算に関する情報、最新の運航、サービス状況、メディアリリース情報など広報からのコンテンツ、それからINSUITEの利用規則などを掲載している。

 「これは“一人ひとりがJAL”というJALフィロソフィにもつながります。正直なところ、これまでオフィス勤務の社員は運航情報やサービス情報などを詳しく知らなくてもいいといった雰囲気がありました。しかし今は、社員なら誰もが知っていることが望ましいとう考え方に変わっており、イントラネットのトップページに掲載するようにしたのです」と垣田氏は話す。

 破たん、再建を通じて、JALの雰囲気は大きく変わった。社員全員がいつでもグループ全体の情報に触れることのできる環境作りも、社員の意識改革を支援する効果があったようだ。

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