日本企業は海外進出を目指している。その流れの中で注意したいのが、ITガバナンスをどうやって展開するかということだ。そうした状況からガートナー ジャパンは以下のような予測を明らかにしている。
2017年までに、海外拠点を持つ日本企業の60%がアプリケーションの集約化に着手するが、その半数が戦略や組織体制、人材の欠如から失敗する――。
海外展開をひと段落した日本企業では、効率化と全体最適、リスク管理などを考慮して、グローバルでITガバナンスを強化する段階に入りつつある。だが、グローバルな視点でITにかかわる戦略や組織体制、人材育成に取り組んでいる企業は非常に限ら れているとガートナーは指摘する。
同社の調査によれば、IT人材の育成について日本の本社が把握している比率は特に低く、2割未満にとどまるという。海外展開の課題として、5割以上の企業が「海外拠点におけるITの状況把握」ができていないと説明。これらの状況から、日本企業がグローバルのビジネス成長に寄与するIT支援体制を構築するまで、しばらく時間を要すると予測する。
戦略や組織体制、人材が十分伴わないまま、安易にアプリケーションの集約化を進めることは、スケジュールの遅延や予算の超過につながり、“使われないアプリケーション”を生み出すことで、ITガバナンスが低下する恐れもあるとしている。
IT部門は、まず海外拠点のITの正確な実態を把握することに努め、その後アプリケーション集約化を推進するべきとし、効果を生み出すための組織能力が自社に備わっているか、客観的に判断する必要があるとしている。その上で、アプリケーションの各領域で目標とするガバナンスのレベルを設定、グローバルでの競争に必要なニーズに沿ったIT人材を育成することが、一層求められると提言している。