「ソリューションプロバイダーに成長」--2015年度事業戦略に見るデルの変化

大河原克行

2014-02-21 12:46

 デルは2月20日、2月から開始した2015年度の事業戦略を発表した。代表取締役社長の郡信一郎氏は2015年度を見通してこう語った。

 「2015年度は、Michael Dellが1984年に事業を開始して以来、30年目の節目の年になる。1988年に上場していたが、2013年10月29日には非公開化し、2015年度は非公開企業として1年を通じて事業を展開する最初の年となる。Dellは180カ国で展開し、6兆円の売上規模を誇る、世界最大のスタートアップ企業である。今後も顧客視線でソリューションを提供する“ソリューションプロバイダー”として成長を遂げていくことになる」

 郡氏は「2015年度の日本法人のキーワードは“ゲームチェンジ”。デルがソリューションプロバイダーへの道筋を推進する中でITインフラはこうあるべきだという提案をしていきたい。運用、管理といった点でもデルの技術を通じて価値を提案していきたい」とし、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの拡充にも力を注ぐ姿勢を示した。

郡信一郎氏
デル 代表取締役社長 郡信一郎氏

企業向けで評価が高まる

 2014年度(2013年2月~2014年1月)について郡氏は「日本法人として20周年の節目の年であり、良い1年となった。デルが創業以来変わらないことはオープンであり、業界標準であり、拡張性のある製品を提供していることにある。PCからデータセンターまでの幅広い製品群を提供するほか、新たにデルソフトウェア製品群を加えた。エンドトゥエンドで製品を提供できるのがデルの特徴であり、日本の顧客が求めるソリューションが増えている」と説明した。

 また「クライアントビジネスで“逆襲”を遂げることができた1年」とし、年間で2ポイントのシェア上昇となったほか、四半期ごとに2桁成長を遂げていること、年平均成長率で28.5%増を達成したことなどに触れた。

 「法人向け、個人向けもそれぞれ伸ばしている。エンドユーザーコンピューティングの専任部門が戦略を担う体制となった点が大きい。コンシューマー市場を細分化して、SOHO向けやゲーマー向けなど、成長性、競合環境などからみて魅力的と言える市場に投資してきた。新規顧客の開拓にも成功した」などと分析。「デルは元気がある、勢いがあるというイメージができたのではないか」と戦略の取り組みを評価した。

 サーバ分野では約1ポイントシェアを拡大し、高密度サーバでは2四半期連続でのナンバーワンシェアとなったという。1~99人の法人向け市場のx86サーバでトップシェアとなり、iSCSIディスクストレージ市場では20四半期連続でのトップシェア獲得したほか、国内中小・中堅企業向けPCの出荷台数ではナンバーワンとなったとしている。

 「2014年度は、エンタープライズ領域での実績、評価が高まっているのが特徴だと言える。サーバに加えてネットワークスイッチやストレージ、管理ソフトウェアなどを含めたシステムとして提案し、その取り組みが顧客から評価されている」

 ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイや総合建築コンサルタントのニュージェックで、ストレージ「Compellent」やオフィス向けの垂直統合型システム製品「PowerEdge VRTX」を導入することで、災害復旧(DR)の高度化、5日間かかっていた処理を2日間に短縮するといった効果が出ていることを紹介した。

パートナーを拡充

 2015年度の事業戦略として、ストレージとセキュリティの2点を重点領域に挙げた。「求められているのは、人的リソースを割かずにメリットを享受できること。IT予算の7割以上が運用管理に割かれている状況を改善することで顧客の環境を変えていきたい」

 ストレージでは「Software-Defindによるデータ運用の自動化」を掲げ、サーバキャッシュを含む自動階層化で高速データ処理に対応する「レガシーなミッションクリティカル環境の刷新」、階層化や圧縮、重複排除の自動化と価格を最適化した「オールフラッシュストレージの民主化」、省スペース、低価格、自動階層化、オールフラッシュストレージによる「SMB(中堅中小企業)市場向けコンパクトFCストレージの展開」に取り組む姿勢をみせた。

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