サポートと移行のオプション
Paulus氏は、XPを使用している企業や個人が取り得るオプションとして、移行を容易にする無償のツールやガイド、リソースとともに、DellやHewlett-Packard(HP)、Lenovoといったパートナー企業が提供しているハードウェアについても言及した。
なお、Microsoftは4月8日以降も有償サポートを提供するものの、その対象は既存の「Premier Support」契約を結んでいる大企業のみとなっている。
Paulus氏は「全般的に見て、これは非常に規模の大きな企業向けのものにしかならない。また、そういった企業にとっても高価な選択肢になるだろう」と語った。
「最終的には、エンジニアリングチームにその企業のためのパッチを開発させ、該当パッチを配備する費用を負担してもらうことになる。これは明らかに最後の手段として考えられている」(Paulus氏)
Microsoftは「Custom Support」の価格を公表しておらず、これが企業の規模と具体的な要求に依存し、前払い料金の安い「Essentials」と呼ばれる低価格のものを含むいくつかのレベルに分かれていると述べるにとどまっている。
Paulus氏は「しかし、それでも数千ドルという単位の話になる。これは主流のソリューションという位置付けではない。われわれはWindows XPから次のプラットフォームに移行してもらいたいのだ」と語った。
「Standard Custom Support」は1000台以上のデバイスを導入している企業のためのものであり、その年間コストはマシンの台数によって算出される。
Paulus氏は「(低コストのサポートであっても)契約するには数万ドルの費用がかかるうえ、デバイスごとに費用が発生するとともに、修正ごとの支払いもある。ある程度の規模の抑制は可能かもしれないが、それでも毎年数万ドルはかかるだろう」と語った。
また、一般配布リリース、すなわちGDRの配備や、マシンへの自動アップデートが行われなくなるため、IT部門はMicrosoftがXP向けに作成するパッチをすべて適用する義務を負うことになる。
「Microsoft Security Essentials」の改定:本当の延長ではない
MicrosoftがXP向けのウイルス定義やマルウェア対策エンジンのアップデートを2015年7月14日まで提供し続けるという報道が最近あったものの、Paulus氏によるとこれは本当の意味での延長ではないという。
同氏は「サポートを終了したOSに対してMicrosoft Security Essentialsがどれだけの期間対応し続けるのかについて、公式に明らかにされているポリシーは存在していなかった。今回、この点を明確化した」と語った。
「正直なところ、こういったアップデートを中止するための手を打っておくべきだった」(Paulus氏)
Paulus氏によると、Microsoftはこの明確化が顧客にとって正しいことであると考えたのだという。
同氏は「これは、顧客が使用しているOSはもはやサポートされていないというメッセージを伝えるもう1つの素晴らしい手段だ。われわれは、ユーザーが間違った考えを持ち、これで移行せずにXPを使い続けても構わないと思わないようにしたいだけなのだ」と語った。
「これはよいことだ。顧客の便宜が図られるとともに、顧客にとっても正しいことである。ただし、セキュリティについて誤った考えを持ったり、移行をもう1年先延ばしにするための理由にはするべきでない」(Paulus氏)
また、同氏は最近のWindows 9についての報道も、XPからの移行を遅らせるための根拠とするべきではないと確信している。
同氏は「常に新しいリリースが存在する。われわれは常に次のバージョンを開発しているのだ。何かを出荷すると同時に、次のバージョンの作業に取りかかるのはもちろんだ。私はそれによってユーザーが混乱するとは考えていない。これは様子を見る理由とはなり得ないため、ユーザーの混乱もないだろうと願っている」と語った。
「ユーザーはこの移行に踏み切る必要がある。今がその時だ。われわれはサポート終了日が来る前にできるだけ多くのユーザーに移行してほしいと願っている。彼らにとってそれが本当に最善の選択肢なのだ」(Paulus氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。