IBMが2月23日から4日間、米ネバダ州ラスベガスで開催している年次カンファレンス「IBM Pulse 2014」の3日目、ゼネラルセッションは、「クラウドが経済を変える」をテーマに、主にクラウドを支えるインフラの側面からIBMの取り組みやユーザー事例が紹介された。
ユーザー事例の1つとして登場したのが、Honda North Americaのアソシエートチーフエンジニア、Hugo Beltran氏だ。全米だけでも15カ所の拠点とコラボレーションし、5000台のロボットが稼動しているという同社。生産プロセスの自動化のレベルは高いという。こうした生産現場の管理をするために、Honda North Americaは自社と同じグローバル企業であることなども考慮し、IBMとパートナーシップを組んだ。
「Hondaでも生産ラインが止まることがある」とBeltran氏。オペレーターが対応し、それでも原因が究明できない時にBeltran氏に声がかかるという。
ダウンタイムは損失に直結
「昔はもっと髪の毛が黒かった」と同氏。「ダウンタイムがあればその間クルマはつくれない。それは損失につながり、自分にとってストレスになる」と、その理由を説明した。
IBMの「Maximo Asset Management 」を導入する前に使っていたという紙のマニュアルを聴講者に披露した同氏。17年間にわたりさまざまな事柄を書き込み、破れた箇所を糊付けてして使い続けたという年季の入った小冊子をカメラマンがアップで映すと、会場からは拍手が沸き起こった。
17年間使い続けたというマニュアルを見せるBeltran氏
Maximoは単一のソフトウェア基盤上に構築され、製造、施設設備、輸送、ITなど企業が持つさまざまな資産に関する包括的な情報を管理するもの。総合的な観点から企業の資産を把握し、潜在的な利用価値をすべて特定できるとIBMは説明する。
Maximo導入後、こうした作業はデジタル端末と電子データで手がけるようになった。当然、具体的な導入効果が求められるという。
「数値目標は機器の利用効率。現在までに、5.3%の効率化を実現した。これはさらに良くなると考えている」(Beltran氏)
将来的には、ロボットなどの生産機器の故障をリアルタイムに予知し「緑なら正常、黄色は注意、赤は危険といった具合に知らせてくれるようになるとありがたい」(同)と話した。
ストレスをなくしたい、との発言を何度もしていたBeltran氏。製造業の生産現場での仕事がいかに緊張感のあるものであるかを示すと言える。
現在は電子端末で管理している