F1チームInfiniti RedBull Racingのインフラ管理
同じくインフラ管理の側面から、F1チーム「Infiniti RedBull Racing」の最高情報責任者(CIO)を務めるMatt Cadieux氏が登壇した。F1レースの勝利には効率的なインフラ管理が不可欠だという。
F1チーム「Infiniti RedBull Racing」の最高情報責任者(CIO)を務めるMatt Cadieux氏
英国のMilton Keynesnに600人の従業員がいる同社。飲料のRedBullをスポンサーに、2005年に設立。2010年から、Constructer & Driver World Championshipを2013年まで4度連続勝ち取るなど、老舗であるMcLarenなどと争わなくてはならない厳しい環境の中で、ここ数年圧倒的な強さを持つ。レースに勝ち、チャンピオンシップを勝ち取ることが唯一の焦点だという。
華やかな世界の裏で、F1カーのセットアップなどを手掛けるメンバーの留意事項は、まずは「スピード、スピード、スピード」。このほか「イノベーション」「規制」などを挙げる。車体は、計画からコンセプト設計、詳細設計、生産、テストまでを工場で開発する。その後、F1トラックでテストし、認定してレースに臨むという流れだ。
現在では、ほとんどの車体は、3DCADを使ったバーチャル環境で設計され、シミュレーションを重ねるという。PLM(製品ライフサイクル管理)や統合基幹業務システム(ERP)などを活用して、プロセスが管理されている。
この中で、IBMがパートナーとして深くかかわっているのがデータ分析の領域だ。リアルタイムのオーディオ、ビデオ、GPS、テレメトリのデータがレース会場から工場の分析ルームに送られる。
IBMの「プラットフォームコンピューティングの技術が埋め込まれている
これを基に、車体のセットアップ、ライバルチームの分析、レース戦略の立案、過去データのフィードバックをする。具体的には、専用アプリケーション、グリッドコンピューティング、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェア管理ツールなどが支える格好だ。
この分析インフラが、IBMのシステム基盤に組み込まれているという。業務プロセスは自動化され、ワークロードのスケジュールやリソースのプロビジョニングが実施される。ポータルでは、複雑性が隠蔽され、知的財産は守られる。ボトルネックの発見と管理のため、レポートと分析機能が提供されている。
Honda AmericaやInfiniti RedBull Racingなどの事例を通じて、IBMがアピールしたのは、ビジネス価値の源泉を支えるのがインフラ技術であるということだ。効率、スピード、イノベーションの3つが、インフラがクラウドでのシステム構築に役立つ要因であり、IBMがその実現を手伝えることを強調する形になったとしている。